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2012 年度 実施状況報告書

新規in situバイオフィルムモデルにおけるエピガロカテキンガレートの影響

研究課題

研究課題/領域番号 24792020
研究機関大阪大学

研究代表者

朝日 陽子  大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (50456943)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードバイオフィルム / in situ device
研究概要

これまでのバイオフィルムに関する研究はほとんど単一菌種バイオフィルムによるものであり,複数菌種バイオフィルムモデルに関しても,用いる細菌種に限りがありデンタルプラークとは異なるものであった。一方,本研究で開発したin situバイオフィルムモデルはヒト口腔細菌のバイオフィルムを作製するもので,デンタルプラークを可及的に再現できるシステムであり,デンタルプラーク形成メカニズムを解明する糸口になると考えられる。本研究では,デンタルバイオフィルム形成過程における構成細菌の量,種類の動態を明らかとするために,in situバイオフィルム形成装置を用いて可及的に再現したデンタルバイオフィルムを,経時的に取り出し,定量的解析,走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡による形態学的観察を行った。
1.real-time PCRを用いて定量的解析を行った。細菌数は,それぞれ1時間後 6.62E+05 /mm2,4時間後 2.02E+06 /mm2,8時間後 3.18E+06 /mm2,12時間後 1.22E+07 /mm2,16時間後 1.05E+07 /mm2,20時間後 1.26E+07 /mm2,24時間後 2.34E+07 /mm2,48時間後 4.70E+08 /mm2であった。バイオフィルム形成12時間まで急速な増殖が認められたが,その後の増殖は緩やかなものであった。
2.形態学的観察においては,4時間でマイクロコロニーの形成が認められ,8時間後に球菌主体のバイオフィルムが観察された。12時間後には糸状菌が出現,16時間後にはマトリックス様構造物で被覆された像が観察された。24時間および48時間後には球菌,糸状菌,桿菌の多様な形態から構成されたバイオフィルム形成が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画は,in situバイオフィルム形成系を開発し,定量的解析および走査型電子顕微鏡を用いた経時的解析を行うことであったが,バイオフィルム形成系を確立し,経時的に定量的解析および走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡によるバイオフィルムの観察を行ったため,おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後,確立したバイオフィルム形成系を用いて,3次元的検索および定性的解析を行う予定である。
1.3次元的検索1)バイオフィルム形成細菌の生死の観察:バイオフィルムサンプルをLive/Dead® BacLightTM Bacterial Viability Kitsにて染色し,共焦点レーザー顕微鏡(現有設備,右図)を用いてバイオフィルム内の細菌の生・死を解析することでEGCgが,バイオフィルム形成に与える影響を評価する。また,共焦点レーザー顕微鏡で得た画像を立体構築ソフト(Imaris) にて処理し,バイオフィルムの3次元的画像を構築し,EGCgがバイオフィルムの厚みや密度等の立体構造に及ぼす影響について検索を行う。2)バイオフィルム形成細菌種の立体的配置の観察:Fluorescence in situ hybridizationにより,経時的なバイオフィルム構成細菌の変化を3次元的に観察する。バイオフィルムサンプルを,固定・脱水・ハイブリダイズを行った後,共焦点レーザー顕微鏡にて観察する。その後,得られた画像をImarisにて立体構築するとともに,構成細菌の比率を計算する。また,EGCg作用群と比較することで,EGCgがバイオフィルム構成細菌に及ぼす影響を検討する。
2.バイオフィルム構成細菌種の定性解析:バイオフィルムサンプルよりゲノムDNAを回収し,抽出する。得られるDNAより16S rRNA遺伝子を増幅する。PCR産物を大腸菌への形質転換し,プラスミドライブラリーを作成する。その後プラスミドDNAを回収し,シークエンサーによりそれぞれのインサートの塩基配列を決定する。得られる塩基配列を,NCBI database BlastN Programにて照合し,配列解析ソフトによりマルチアライメントを行い,配列間の進化距離を計算して系統樹を作成する。

次年度の研究費の使用計画

3次元的解析の用いる染色キットおよび試薬・器材の購入に使用する予定である。また遺伝子工学的な解析は研究室で行うのに比べて安価かつ時間の短縮が可能なため,外注費を予定している。
本研究で得られる研究成果を,国内外の学会で発表するとともに,国際学術雑誌に投稿し,世界に発信する予定であり,学会経費および投稿経費を計上している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Effects of sub-MIC green tea catechin on Porphyromonas gingivalis biofilm.

    • 著者名/発表者名
      Asahi Y, Noiri Y, Maezono H, Yamaguchi M, Sakiyama R, Hayashi M, Ebisu S.
    • 学会等名
      91th General Session & Exhibition of the IADR
    • 発表場所
      アメリカ、シアトル
  • [学会発表] クオラムセンシング関連物質と抗菌剤の併用がFusobacterium nucleatumのバイオフィルム形成に及ぼす影響

    • 著者名/発表者名
      朝日陽子、野杁由一郎、五十嵐 潤、前薗葉月、山口幹代、山本れいこ、林 美加子、恵比須繁之
    • 学会等名
      バイオフィルムと複合系研究会
    • 発表場所
      土浦市

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公開日: 2014-07-24  

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