研究概要 |
殺菌効果が報告されているエピガロカテキンガレート(EGCg)がPorphyromonas gingivalisのバイオフィルムに及ぼす影響の検索を行った。 成熟したバイオフィルムに及ぼす影響:ATP測定の結果,MIC以上のEGCg作用群は対象群と比較し,有意にバイオフィルム量の減少を認めた。また,走査型電子顕微鏡観察において,対照群では菌体外マトリックスに覆われたバイオフィルムが観察されたのに対し,EGCg作用群では,細菌が散在している部分がみられた。さらに,透過型電子顕微鏡観察において,EGCg作用群で,細胞膜が破壊され細胞質が溶出している像が認められた。 バイオフィルム形成に及ぼす影響:MIC未満のEGCg作用群において,対象群と比較して,バイオフィルム形成量が有意に減少した。また,試料をLive/Dead Kitsにて染色し,共焦点レーザー顕微鏡を用いて3次元的に解析したところ, EGCg作用群においてバイオフィルム形成領域の低下が認められた。以上より,EGCgはP. gingivalisの成熟したバイオフィルムおよびバイオフィルム形成のいずれにも抑制効果があることが示された。 一方,デンタルバイオフィルムを再現できるin situバイオフィルムモデルを用いた経時的観察では,Real-time PCRにて定量的解析を行った結果,細菌数はそれぞれ1時間後:4.05e+7, 4時間後:1.45 e+8, 8時間後:7.63e+8, 12時間後:1.22e+9, 16時間後:1.05e+9, 20時間後:7.69e+8, 24時間後:2.85e+9, 48時間後:1.31e+10, 60時間後:1.129e+11, 72時間後:1.30e+10, 96時間後:4.09e+10(単位:cell/ mm2)であった。電子顕微鏡観察において, 1時間後:球菌の付着,4時間後:球菌によるマイクロコロニー形成,12時間後:様々な大きさの球菌、桿菌および線状菌の出現, 16時間後:マトリックスに被覆されたバイオフィルム, 24時間以降:バイオフィルム形成領域の増加が認められた。
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