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2012 年度 実施状況報告書

歯科用セメントからの微量溶出イオンの歯髄・歯根膜細胞に対する活性化作用の検索

研究課題

研究課題/領域番号 24792023
研究機関大阪大学

研究代表者

騎馬 和歌子  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10523087)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード保存修復学
研究概要

今年度は、まず、Sr2+, Al3+, Na+, B3+, およびSi4+を溶出するコンポジットレジンおよび無機セメントを試作し、各材料から溶出するイオンの濃度測定、および、各材料が細胞に及ぼす影響について検討を行った。試作コンポジットレジンからは持続的なイオンの溶出はみられたものの、未重合モノマーの影響により、細胞がどのレジンにおいても材料上で生存しなかった。試作無機セメントでは、S-PRGフィラーとポリアクリル酸/トリカルボン酸を組み合わせたS-PRGセメントを試作し,フィラー粉末と液成分をP /L比=2 /1で混和したものでは、持続的にイオンの溶出がみられ、逆根管充填等に使用されている市販のグラスアイオノマーセメントや酸化亜鉛ユージノール系セメントよりも細胞付着性にすぐれ、MTAセメントと同程度の細胞親和性を示すことが明らかとなった。これらの溶出イオンが良好な細胞付着性に関与している可能性が推測されたので、次に、各イオンの細胞に及ぼす影響について検討と行うこととした。
Sr (NO3)2, NaNO3, H3BO3, Na2SiO3といったように、被験イオンに対するカウンターイオンを同一のものとする工夫を施してイオン液を作成し、種々の濃度での各イオン液のpHが中性となるように調整を行った。骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を、H3BO3 (25~200ppm),Sr (NO3)2 (5~50ppm),Al (NO3)3(0.5~5ppm),Na2SiO3 (5~50ppm),またはNaF (25~200ppm)を添加した10%FBS添加α-MEM培地を用いて1または3日間培養後,細胞の形態と増殖状態を位相差顕微鏡にて観察するとともに,MTT assayにより細胞増殖を評価したところ、Srは細胞増殖を有意に促進し、BとFは細胞増殖にネガティブに作用することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先に、Sr2+, Al3+, Na+, B3+, およびSi4+1を溶出するコンポジットレジンおよび無機セメントを試作し、各材料が細胞に及ぼす影響を検討したため、平成24年度の予定した実験すべてを終了はしていないが、予定していた実験(1. イオン液の調整、2. 骨芽細胞様細胞に対する作用の評価;1) MTT アッセイ;2) 細胞のSEM 観察;3) ALP 活性測定)のうち、細胞のALP活性測定以外はすべて完了したので、今年度に行っても、予定していた研究を遂行できると考えている。

今後の研究の推進方策

Sr2+, Al3+, Na+, B3+, およびSi4+の骨芽細胞様細胞に対する作用の評価:ALP 活性測定
48 ウェル細胞培養プレート(Corning Inc.)の各ウェルに各イオンの標準液を含有させた分化誘導培地を用いて1×104 cells/ウェルとなるように調整したMC3T3-E1 細胞懸濁液500 μl を播種する。3 日ごとに培地を交換しながら1, 3, 7, 14 日間培養を行った後、0.02% Triton X 含有PBS を添加して凍結・融解を二回繰り返して細胞を破砕後Alkaline Phosphatase Substrate Kit およびBCA Protein Assay Kit を用いて測定を行い、ALP 活性を算出する。イオンの標準液を添加せずにで分化誘導培地を用いて培養した場合をコントロールとし、結果を比較する。
象牙芽細胞様細胞および歯根膜細胞に対する作用の評価:マウス由来の象牙芽細胞様細胞であるMDPC-23、およびマウス歯根膜由来クローン細胞であるMDPL22 を使用し、添加する各イオンの標準液の濃度は実験2 ででた細胞の活性化に適した濃度を基準にある程度絞り込んで以下の実験を行う。1) MTT アッセイ 2) 細胞のSEM 観察 3) ALP 活性測定 4) 骨芽細胞分化マーカーの発現の検索:Bone Sialoprotein (BSP), osteocalcin (OCN), Alkaline Phosphatase (ALP), およびDentin Sialophosphoprotein (DSPP)のmRNA の発現量をリアルタイムPCR 法にて測定する 5) 石灰化の評価:14 または 21 日間培養後,アリザリンレッドによる染色と細胞および形成された石灰化物が含有するカルシウム量の測定を行い,石灰化物形成を評価する

次年度の研究費の使用計画

次年度は所属が変わるので、研究環境を整えるのに、昨年度の繰り越し資金を使用しようと考えている。また、次年度は、リアルタイムPCRなどの遺伝子工学的な解析を行うための消耗品の購入が増えると予想されるとともに、学会でも発表を予定しており、かつ、論文投稿も予定しているので、これらが主な研究費の使用目的となると考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Evaluation of osteoblast-like cells proliferation on S-PRG filler-containing cement

    • 著者名/発表者名
      W. KIBA, S. IMAZATO, S. MIKI, M. HAYASHI
    • 学会等名
      91th IADR/AADR/CADR General Session & Exhibition
    • 発表場所
      Seattle, WA, USA
  • [学会発表] マルチイオン徐放性S-PRGフィラー含有試作セメントへの骨芽細胞様細胞の付着性

    • 著者名/発表者名
      騎馬和歌子,三木彩希,今里 聡
    • 学会等名
      第61回日本歯科理工学会
    • 発表場所
      舟堀、東京

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公開日: 2014-07-24  

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