研究課題/領域番号 |
24792031
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
半田 慶介 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40433429)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大豆イソフラボン / 石灰化 / 歯髄細胞 / 直接覆髄 |
研究概要 |
ラット歯髄細胞にフラボノイドに分類される大豆イソフラボンおよび亜麻リグナンの添加を行い、石灰化を誘導する条件を設定し、象牙質形成関連遺伝子群の発現の定量化およびシグナル伝達経路を調べることを本年度の研究目的とした。 ラット上顎切歯からそしきを採取し、細菌性コラゲナーゼを用いてラット歯髄細胞(RDP)を樹立した。RDPに大豆イソフラボンであるゲニステインを各種濃度を添加することによって、象牙芽細胞に分化した際発現が認められる遺伝子(DMP-1、dentin sialprotein,osteopontin,osteocalsin,bone sialprotein)の上昇が観察された。また genistein存在下でのRDP培養し、細胞の石灰化に与える影響を解析するためにALPase活性の測定およびアリザリンレッド染色を行った。genistein添加群のALPase活性は、培養10日目ではControlとほぼ同等の活性であったが、培養17日目以降に活性の上昇が観察された。さらにアリザリンレッド染色では、培養30日目に石灰化結節の形成が認められ、これに対しControlでは石灰化結節は培養期間内ではほとんど認められなかった また、osteocalsinのタンパク量の定量をELISA法によって調べた。genisteinを含む培地でRDPを培養後、Controlと比較してgenistein添加群でosteocalsinタンパク量は顕著に増加していた。これらの結果から、ラット歯髄細胞に大豆イソフラボンであるゲニステインを添加することで石灰化を誘導することが観察された。このことは天然成分由来である大豆イソフラボンが直接覆髄剤や間接覆髄剤へと応用が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は大豆イソフラボンをラット歯髄細胞に添加した場合を優先的に研究をすすめた。大豆イソフラボンであるゲニステインをラット歯髄細胞に添加したのち、遺伝子発現や石灰化結節の観察を行ったところ、良好な研究結果が得られた。一方で亜麻リグナンを用いた実験や亜麻リグナンとゲニステインを同時添加した実験は、良好な研究データーが得られなかった。次年度は亜麻リグナンに関する研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は大豆イソフラボンのうちゲニステインをラット歯髄細胞に単独添加して、遺伝子発現や石灰化結節の観察を中心に行ってきた。また、直接覆髄剤として大豆イソフラボンのうちゲニステインを用いた場合、良好な結果が得られてきた。そこで次年度は、in vivoの実験数を増やし、実験データーの詳細な解析を行うとともに、in vitroにおけるシグナル伝達(AKTのリン酸化)の詳細をELISA法によってリン酸化状態がどのように推移するかを中心に研究を進めていく予定である。また、亜麻リグナン単独とゲニステインとを組み合わせた場合に、石灰化にどのように影響を及ぼすかを遺伝子発現(real time PCR法)や石灰化結節の観察(アリザリンレッド染色やALPaseの活性)を調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に則り、in vivoにおけるゲニステインの役割を明らかにするため、ラット歯髄に直接覆髄実験を行い、詳細を検討する予定である。また、ゲニステインや亜麻リグナンを添加した場合の細胞内シグナル伝達を、Aktやp38のリン酸化をELISA法によって調べ、研究を進めていく予定である。亜麻リグナンを歯髄細胞に単独投与した場合の研究報告が見られないことから、注意深く研究を進めていく必要がある。
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