研究概要 |
本研究は、低濃度の過酸化水素と反応させる以前の二酸化チタンに、複合波長の紫外線を照射し、二酸化チタンに付着している炭化水素を除去することが、従来の漂白法よりも短時間で漂白効果が得られ、さらに生体(歯質や軟組織)に対して安全性が得られるという仮説のもとに研究を企画し、光触媒二酸化チタンを用いた新規歯牙漂白法の開発を目指して基礎的研究を行うものである。 初年度においては、最初に炭化水素を取り除く照射時間の確率を目標に、XPS(X線光電子分光)を用いて経時的変化の比較検討を行う予定であったが、手技の難易度と経費の観点により、メチレンブルー溶液を用いて色素分解能の変化を確認し、これから得られたデータをもとに、二酸化チタン粉末表面の炭化水素を含む元素分析を行うこととした。 アナターゼ型二酸化チタン粉末(ST-01, 石原産業)をガラスシャーレに1g採取し、1時間37℃でインキュベーターに安置(遮光)させた後、漂白前処理としてトランスイルミネーター(UV Hand Lamps, USA)を用い365nm光源を照射した。照射時間は(15, 30, 60 )分とした。前処理後、10ppmのメチレンブルー(MB)溶液1mlと混和し、トランスイルミネーターを用いて365nm光源を2分間照射した。Controlとして、漂白前処理を行わない二酸化チタン粉末とMB溶液の混合溶液に365nm光源を2分照射したものを使用した。その後、Nano-Drop ND-1000 spectrophotometer(Nano-Drop, USA)を用いてMBの吸収波長である668nmを測定し検討した。その結果、Controlと比較し、前処理15分では吸光度に変化が認められず、前処理30, 60分では1.2-1.3倍の吸光度の上昇が認められた。
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