研究課題/領域番号 |
24792040
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (10409237)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 直接覆髄法 / 炭酸ガスレーザー |
研究概要 |
本研究の概要は、研究内容に同意を得た患者の抜去予定歯に人工的な露髄面を形成、炭酸ガスレーザー照射を併用して創面を止血・殺菌処理した後、歯質接着性レジンシステムで覆髄・修復処置を行う。一定の経過観察後に抜歯し、病理組織標本を作製、光学顕微鏡下で観察ならびに評価することである。 平成24年度は「直接覆髄処置」を行うことが主である。研究の対象歯は、日本歯科大学新潟病院に来院した患者で、何らかの原因(矯正に伴うもの、智歯等)にて生活歯の抜歯を必要とし、研究目的を理解し抜去歯を提供することに同意を得た患者の歯である。平成25年3月31日現在で、10名の研究対象者から17歯を提供いただいており、すでに4歯は観察期間を終了し抜歯、試料作製を行っている。引き続き研究協力者を募集しているが、被験者の協力状況によっては予定した試料数の確保が難しくなる。この場合、実験群と観察期間が変更となる可能性もあるが、研究計画当初より予想していた事項なので観察期間などを減らして対応する。 直接覆髄時の露髄面への炭酸ガスレーザーの照射は、出力0.5W、出力モード:スーパーパルスモード1(パルス幅200μsec、インターバル5800μsec、0.003J/pulse)、照射時間3秒、照射モード:リピートパルスモード(10msec照射、10msec休止のサイクル、すなわちレーザー光の露出時間1.5秒)、非焦点位ビーム(露髄面表層から約20mm離した距離、ビーム径0.74mm)、エネルギー密度0.698J/cm2/pulse、ならびに総エネルギー量0.75Jとし、空冷を併用する。上記、照射時間3秒を1クールとして、5クールで照射を完了する(露髄面に対する総エネルギー量3.75J)。現在のところ、この照射により十分に露髄面の出血および滲出液をコントロールできており、術後経過も良好である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に歯を提供・協力していただく研究対象者の募集が十分にできていない。しかしながら、研究対象者の意志・利益を最優先で考えるべきことなので、募集活動は地道に行っていきたい。これまでに提供いただいた歯については、処置から抜歯まで順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
試料数がまだ不足しているが、追加で5名・計8歯を提供していただく予定であり、研究として結果を得るための最低限の試料数は確保できる見込みはできている。しかし、研究対象者の希望により途中で辞退することも考えられるため、引き続き募集は行う。 抜去歯についてはすみやかに試料作製を開始する。抜去歯は、4%パラホルムアルデヒド溶液により固定、10%EDTA容液による脱灰後、パラフィン包埋を行い薄切連続切片を作製する。切片にヘマトキシリン‐エオジン染色、グラム染色(Hucker-connの組織細菌染色)、マッソントリクローム染色、細網線維染色(NF/渡辺の変法)、免疫組織化学染色法(DMP、DSP、collagen type I、HSP47)を施す。それらは光学顕微鏡下で主に歯髄組織の炎症性変化、露髄創傷部の被蓋硬組織形成、照射組織の状態について観察し、統計学的に実験群を比較する。その結果より照射条件の適正値、治癒過程、有用性を明らかにしたい。 本研究の結果と当講座で行われてきた一連の直接歯髄処置に関する過去の研究のデータと比較することで、より包括的・総合的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接覆髄処置に使用する器具、器材のほとんどは整えてあるため、平成25年度は光学顕微鏡用試料作製のための消耗品および染色用試薬を中心に購入する予定である。 また、継続して研究対象者を募集するため、協力者に対する謝礼金を準備する予定である。
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