現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ETFsは、歯髄細胞を肝細胞へと分化させる必要不可欠な生理活性物質である。しかし、従来用いていたETFsは、精製後の時間経過により歯髄幹細胞を肝細胞へと分化させる活性が減少していた。ETFsは、子宮頸部類扁平上皮癌細胞株(SKGII)を無血清培養した培養上清である。そのため、SKGIIを無血清DMEM/F12にて培養し、SKGII-SF細胞を樹立することは本研究の成功のためには必須なことである。 また、歯髄細胞を肝細胞へとより効率よく分化させるETFsの作製は、その成分を同定し人工ETFsを作製するためにも必要である。ETFsは、SKGIIという癌細胞の培養上清から作製される。そのため、培養上清の中にタンパク以外の未知なペプチドなどの存在の可能性がある。どの成分が歯髄幹細胞を肝細胞へと分化させるかは明らかになっていない。歯髄細胞を肝細胞へより効率よく分化させるETFsをSKGII-SFの培養上清から精製し、その成分解析を行うことにより明らかになった生理活性物質をヒト組換え型タンパクで置きかえ、人工ETFsを作製する。これにより、分化が既知、または未知の成分により誘導されたかが明らかになると考えている。 さらに、申請者は本研究でも用いられる濾紙による細胞分離法を確立し2013年2月(Differrentiation, Volume 85, Issue 3, February 2013, 91-100)に報告を行った。この手法は、目的の細胞を分離するため、0.25%トリプシン-0.02%EDTA溶液に浸した2×2㎜角の濾紙を細胞上に置き、その濾紙に付着する細胞を新しいシャーレにて培養し増殖させる方法である。さらに、本手法は、より純度の高い細胞集団の分離が可能である。そのため、本研究で得られた歯髄由来肝細胞もこの方法を用いて分離可能であり、計画どおり研究が進められていると考えている。
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