研究課題/領域番号 |
24792043
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
武藤 徳子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40510433)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | wnt / 歯髄 / 歯学 |
研究概要 |
歯の損傷後のBrdUラベル細胞と細胞増殖活性・アポトーシスとの関連を調べるために、胎生期ラベリング法によりラベルした2週齢マウス第一臼歯を抜去後、ラベルマウス・非ラベルマウス間、GFPマウス・野生型マウス間での他家移植を行った。経時的(1日~8週)に動物を固定し、通法通りパラフィン切片を作製し、Ki67免疫染色、TUNEL染色を行った。 (1)歯の移植後3日で歯髄広範なアポトーシスが惹起されたが、7日後以降にアポトーシス細胞数は減少した。一方、術後7日に歯髄広範にアポトーシスが持続する標本が観察された。(2)歯の移植後5~7日で歯髄広範な細胞増殖が観察されたが、術後14日には細胞増殖が減少した。一方、術後14日に歯髄内で細胞増殖が亢進している標本が観察された。(3)歯の移植後に歯髄内にオステオポンチン陽性細胞およびペリオスチン陽性細胞が出現した。(4)GFPマウスと野生型マウス間での他家移植を行った結果、移植歯の歯髄にはホスト由来間葉細胞と血管内皮細胞の侵入が見られた。以上より、歯の移植後にホスト・ドナー相互作用により歯髄の治癒パターンが規定されることが明らかとなった。 歯の他家移植後には歯髄腔が象牙質または骨組織で閉塞される(Histochem Cell Biol 136: 649-661, 2011)のに対し、歯の再植後には長期間歯髄腔が維持される(Cell Tissue Res 325: 219-229, 2006)ことから、他家移植と再植では、ホスト・ドナー相互作用に起因する幹細胞ニッチ維持機構が異なることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らは、胎生期ラべリング法においてDNA合成期に核内に取り込まれるBrdUを妊娠マウス腹腔内に毎日1回(150㎎/㎏)3日間(胎生15~17日)投与した後、2週間以上置くと歯髄幹細胞が強くラベルされることを確立しこの手法を用い平成24年度はラベルマウス・非ラベルマウス間での再植および他家移植をし、BrdU・Ki67二重染色、BrdU・TUNEL二重染色を施し、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖能・アポトーシスを検証した。実験手技において申請者のグループですでに確立されており、実験の遂行に制約はない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は2週齢マウス第一臼歯を抜去後、ラベルマウス・非ラベルマウス間での他家移植を引き続き実施し、BrdU・Ki67二重染色、BrdU・TUNEL二重染色を施し、歯髄幹細胞/前駆細胞の増殖能・アポトーシスを検証する。さらに、歯の再植実験も行い、経時的(1日~8週)に動物を固定し、通法通りパラフィン切片を作製し、Ki67免疫染色、TUNEL染色を行う。さらに、BrdU・Ki67二重染色、BrdU・TUNEL二重染色を施す。また、歯の再植・移植後の歯髄を取り出し、マイクロアレイにより象牙質形成と骨組織形成に働く環境因子を検索する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
胎生期ラベリング法(Cell Tissue Res 348: 95-107, 2012)を実施し、非対称分裂をする幹細胞/前駆細胞をラベルし、深麻酔下で歯の再植・移植実験を行い、1日~8週間後にアルデヒド系固定液で灌流固定し、EDTA脱灰後、パラフィン切片を作製し、抗BrdU、抗Ki67抗体を用いた免疫染色、TUNEL染色を施すので、妊娠マウス、各種抗体、染色キットを購入する。マイクロアレイ解析については、RNA抽出後の解析は外注する予定である。
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