GFPマウス由来骨髄細胞の調製と骨髄細胞移植を行い、GFP骨髄移植マウスを作製した。このマウスの臼歯にメカニカルストレスを負荷し,歯髄組織における骨髄幹細胞の関与について,病理組織学的・細胞生物学的検索を行った。メカニカルストレスを負荷した歯髄組織を経時的に観察した結果、HSPやALPを中心とするストレスおよび細胞傷害関連因子の発現増強がみられ、それに加えて歯髄では神経内分泌関連因子の著明な発現増強が確認された。また歯髄内にGFP陽性細胞が出現し、これらは種々の割合で既存の歯髄組織の構成細胞に変化していた。さらにGFP陽性細胞は細胞傷害因子、ストレス因子の発現増強が生じている領域を中心に出現していることが明らかになった。また、骨髄幹細胞は神経内分泌関連因子を産生している末梢神経の近傍に分布しており、傷害性刺激をうけた末梢神経へ誘導されている可能性が示唆された。今回得られた結果は歯髄組織の再生修復に道を開くものであると考えている。さらに、この歯髄でみられる現象が広く体組織全般に適用される現象であるならば、様々な臓器の再生と修復に応用可能であると思われる。これらの新知見の一部は学術誌上および学会で公表した。
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