研究課題/領域番号 |
24792052
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
洪 光 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (70363083)
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キーワード | ナノバブル / 生薬 / AQP5 / 口腔ケア |
研究概要 |
日本の高齢化率は23.1%で超高齢社会に突入している。高齢者人口が増加するにつれ、全部床義歯装着者の割合が増加する。総義歯装着者では口腔乾燥症が高い頻度で認められる。一方、義歯装着者のカンジダリスクは義歯非使用者の19.3倍である。また、義歯装着患者のほとんどが口臭の悩みを訴えている。漢方医学では古くから口腔乾燥症、口臭の治療に生薬を使っている。そこで本研究では、ナノテクノロジーに注目し、有効成分をナノバブル化することにより、効果が長期持続させることを考えた。口腔ケア剤に抗菌性を持たせ、口腔内カンジダ症、誤嚥性肺炎などの予防効果のみならず、口腔乾燥症予防および治療、口臭抑制、抗インフルエンザウイルスなどにも期待できる、高齢者のための口腔ケア剤の開発を目的とする。本剤の開発により、口腔乾燥症、口腔内真菌感染、口臭および義歯の不安定などの悩みをもつ高齢者のQOLの向上を目指す。 本年度は、有効成分配合試作口腔ケア剤を作製し、それぞれ3種類の生薬エキスおよび茶カテキンを使用し、これらの成分の含有量、組合せなどが試作口腔ケア剤の理工学的性質、唾液分泌能および抗真菌性に及ぼす影響を検討するため、試作剤の粘度および操作性の測定、材料の保湿度、湿潤性、PH測定、床用レジンのぬれに及ぼす影響の測定、粘着力の測定、溶出成分の定性定量分析、溶出成分が老齢ラットの唾液分泌量および管腔膜でのAQP5量に及ぼす影響の測定、溶出成分が口腔内常在真菌に及ぼす影響の測定、溶出成分が人歯肉繊維芽細胞に及ぼす影響の測定を行った。 その結果から、溶出成分のCVS分解能試験保湿・湿潤性の観点より、適切な材料組成の種類、含有量を決定し、さらに、抗真菌性、口臭抑制の観点より、適切な生薬および茶カテキンの種類および含有量を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験から得られたデータは更なる解析および処理が必要だが、当初計画した研究計画のほとんどの項目が終了し、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度研究結果を基にし、有効成分含有、試作ナノバブル化した生薬成分配合長期作用型口腔ケア剤を2種類作製し、その臨床効果を確かめるため、総義歯装着者に本剤を用い、咬合力の測定、咀嚼能率の測定、義歯の口腔内維持力の測定、唾液分泌量の測定、口腔内抗真菌性の測定、筋電図計測、口臭測定およびVASによる患者の満足度(保湿性、義歯の維持力、におい、味)の評価を通じて、本剤の臨床的評価を行う。 以上の結果から、総義歯装着高齢者に最も有効な口腔ケア剤を1種類選定し、ナノバブル化した生薬成分配合 長期作用型口腔ケア剤を試作する。 さらに、生薬エキス、茶カテキンの唾液分泌促進作用、抗真菌性、口臭抑制効果、口腔ケア剤の組成成分が材 料の理工学的性質に及ぼす影響、保湿性および義歯のぬれに及ぼす影響などについて、得られた結果を取りまと め、研究成果の発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は42,181円生じており、これは研究を効率的推進したことに伴い発生した未使用額である。 生じた次年度使用額は平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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