研究課題
生体と調和した有床義歯補綴治療の遂行には,力によって惹起されるメカノバイオロジカルな生体反応を把握し,コントロールすることが重要である.従来,骨疾患の診断等には骨シンチグラフィーが用いられてきたが,当研究グループでは,既存薬剤と比べ極めて鮮明な画像が得られる新たな検査薬剤NaFを用いたポジトロンエミッション断層撮影(PET)による臨床試験を行ってきた.NaF-PETは,X線検査では捉えられない骨代謝の様相を観察でき,時間反応性が高いという利点があり,生体における骨代謝の経時的な変化を観察するのに有効な手段である.そこで本研究では,義歯装着直後の床下骨組織の経時的な骨代謝回転の様相をNaF-PET/コンピュータ断層撮影(CT)を用いて明らかにすることを目的とした.実験では,義歯経験がなく下顎遊離端欠損を有する被験者3名に実験義歯を装着し,床下骨の骨代謝量の指標となるNaF集積値とCT値の経時的変化を調べた.13週間の全実験期間を通して, CT画像より明らかな骨の形態変化は認められず,CT値にも変化はみられなかった.一方,NaF集積値については義歯装着後経時的に上昇し,13週後では下降に転じた.これは,X線検査による臨床では把握出来ない僅かな骨代謝の変化を極初期に捉えたものであり,義歯装着に伴う力学的負荷により装着直後から床下骨組織の代謝回転が亢進し,リモデリングが積極的に進むことが示された.
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International Journal of Prosthodontics
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Odontology
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10.1007/s10266-013-0107-4