研究課題/領域番号 |
24792064
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
犬飼 周佑 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90436650)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 口腔内装置 |
研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)患者に対するnCPAP,口腔内装置(OA)療法の有効性についてはすでに明らかになっている.OAは主に上下一体型OAと可動型OAが使用される.しかしながら,従来の上下一体型OAに対する可動型OAの治療効果,副作用,コンプライアンスについては未だ示されていない.そのため,上下一体型OAと比較して可動型OAの臨床的な有効性とコンプライアンス,副作用の発現に違いが生じるかを明らかにする必要がある. 一方,OA療法による効果は術後PSG検査により確認が可能である.しかしながら,症状の改善度は患者によって大きく異なり,OA療法で高い効果を示す患者もいれば改善が全く認められない患者もあり,それにもかかわらず,治療前に効果を簡便に予測する検査法は未だ確立されていない. 呼吸器領域で用いられる呼吸気道抵抗測定器(impulse oscillation system: IOS)は,安静呼吸のみで非侵襲的に,呼吸の抵抗度や気道の閉塞性,閉塞部位の評価が可能である.そこで,IOSを用いてOSA患者の呼吸抵抗を測定し,無呼吸低呼吸指数(AHI)と比較,検討することとした.それにより,IOS検査が,上下一体型OAと可動型OAを使用するランダム化被験者内比較試験のアウトカム評価に加えることが可能かどうか,またOA療法の治療効果予測に有用かどうか検討した. 健常者とOSA患者に対してIOS検査を行い,その結果,健常者38名のR5:5Hzでの粘性抵抗の平均値は0.40±0.17であった.それに対してOSA患者24名のOA未装着時のR5の平均値は0.52±0.22であった.またOSA患者の口腔内装置装着時のR5平均値は0.45±0.19であった.今後も引き続き,健常者被験者,OSA被験者の測定,分析を行い,健常者とOSA患者との気道の閉塞性に違いがあるかどうかを明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OSA患者については,OA療法前に,年齢,性別,身長,体重,睡眠の質(ESS,PSQI),AHI,LowestSpO2を調査し,頭部X線規格写真(側方向)撮影を行う.さらに,Master Screen IOS-Jを用いて呼吸抵抗(安静時)を測定する.OA装着後,OA装着時のAHIおよびLowestSpO2,睡眠の質(ESS,PSQI)を術前同様に調査し,頭部X線規格写真(側方向)撮影を行う.さらに,Master Screen IOS-Jを用いてOA装着時の呼吸抵抗測定を行う. OA療法術後の呼吸抵抗について比較検討し,AHIおよびSpO2変化量との関連を求める.また,術前後のESS,PSQI,および頭部X線規格写真(側方向)から計測できる気道の前後径と,呼吸抵抗との関連をそれぞれ求める. また,健常者については簡易型睡眠評価装置(フクダ電子,LS-120S)を用いて,AHIおよびLowestSpO2のデータを取得し,さらにMaster Screen IOS-Jを用いて呼吸抵抗測定を行う. 現在,健常者38名とOSA患者24名に対してIOS検査を行っている. なお,本研究については東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会に申請を行い,承認を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
健常者に対して38名の,OSA患者に対して24名のIOS測定,評価が完了している.健常者の被験者は50名を目標とし,OSA患者の被験者は30名を目標としている. 今後も引き続き被験者のリクルートを行い,OSA患者の測定,分析を行い,IOS検査による術前後の呼吸抵抗値とAHIおよびSpO2変化量との関連を求める.また,術前後のESS,PSQI,および頭部X線規格写真(側方向)から計測できる気道の前後径と,呼吸抵抗との関連をそれぞれ求める. また,今後ランダム化被験者内比較試験についても上下一体型口腔内装置もしくは可動型口腔内装置をそれぞれ3ヶ月使用させ,口腔内装置装着時,口腔内装置装着1ヶ月後,3ヶ月後に治療アウトカムの評価を行う.データ採得終了後にデータ解析,統計解析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
今後も被験者として健常者,OSA患者のリクルートを引き続き行う.健常者,OSA患者に対してAHIおよびLowestSpO2のデータを取得するために,簡易型睡眠評価装置(フクダ電子,LS-120S)での測定が必要となる.簡易型睡眠評価を行うためには消耗品として鼻カニューレが必要となる.OSA患者に対してOA療法を行うにあたり,上下一体型OAと可動型OA(SomnoDent MAS,ソムノメッドジャパン株式会社)を製作する. OA製作時には上下顎印象採得を行った後,前方咬合採得を行う必要があり,前方咬合採得にジョージ・ゲージ(有限会社エム・イー・クリエーション)を使用する.
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次年度使用額の使用計画 |
研究をすすめるうえで,被験者のリクルートを行っていたが,今年度の被験者予定数と実際に行った被験者数が異なったため,次年度使用額が生じた
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