研究課題
閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)患者に対するnCPAP,口腔内装置(OA)療法の有効性についてはすでに明らかになっている.OAは主に上下一体型OAと可動型OAが使用される.しかしながら,従来の上下一体型OAに対する可動型OAの治療効果,副作用,コンプライアンスについては未だ示されていない.そのため,上下一体型OAと比較して可動型OAの臨床的な有効性とコンプライアンス,副作用の発現に違いが生じるかを明らかにする必要がある.一方,OA療法による効果は術後PSG検査により確認が可能である.しかしながら,症状の改善度は患者によって大きく異なり,OA療法で高い効果を示す患者もいれば改善が全く認められない患者もあり,それにもかかわらず,治療前に効果を簡便に予測する検査法は未だ確立されていない.呼吸器領域で用いられる呼吸気道抵抗測定器(impulse oscillation system: IOS)は,安静呼吸のみで非侵襲的に,呼吸の抵抗度や気道の閉塞性,閉塞部位の評価が可能である.そこで,IOSを用いてOSA患者の呼吸抵抗を測定し,無呼吸低呼吸指数(AHI)と比較,検討することとした.それにより,IOS検査が,上下一体型OAと可動型OAを使用するランダム化被験者内比較試験のアウトカム評価に加えることが可能かどうか,またOA療法の治療効果予測に有用かどうか検討した.健常者とOSA患者に対してIOS検査を行い,その結果,健常者43名のR5:5Hzでの粘性抵抗の平均値は0.40±0.16であった.それに対してOSA患者29名のOA未装着時のR5の平均値は0.54±0.22であった.またOSA患者の口腔内装置装着時のR5平均値は0.46±0.18であった.今後も引き続き,健常者被験者,OSA被験者の測定,分析を行い,健常者とOSA患者との気道の閉塞性に違いがあるかどうかを明らかにする.
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