本研究では機械的刺激が、歯根膜におけるコラーゲン・クロスリンクの生成に及ぼす影響について解析を行った。機械的刺激によりヒト歯根膜由来細胞において、クロスリンクの生成に重要なLysyl Hydroxylase2 (LH2)遺伝子の発現と、クロスリンクの生成を示すコラーゲンβ鎖の増加が認められた。ラットを用いた過剰咬合モデルでは、LH2陽性細胞数の増加のみならず、Picrosirius染色によりコラーゲン繊維の増加と成熟を示す所見が得られた。以上の結果より、歯根膜において機械的刺激はコラーゲンの翻訳後修飾を介して組織の維持、安定化に寄与している可能性が示唆された。
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