研究課題/領域番号 |
24792083
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三野 卓哉 岡山大学, 大学病院, 医員 (10625718)
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キーワード | 口腔インプラント / インプラント周囲炎 / マイクロアレイ法 / 次世代シークエンサー / メタゲノム解析 / 生物学的リスクファクター / 診断プロトコル |
研究概要 |
1. 平成24年度に作成した臨床診査プロトコルを用い,初期インプラント周囲炎患者に対する前向き調査を開始した.本研究の目的であるインプラント周囲炎の発症,進行に関与する生物学的マーカーの同定と臨床的リスク因子の検討を達成するためには,インプラント周囲炎に罹患したインプラント体と健全インプラント体のみの比較ではなく,健全歯および歯周病に罹患した歯も含めた比較検討が必要だと考えられた.そこで,本調査の選択基準は口腔内に健全インプラント体,インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯を有する者のうち同意が得られた者とした.なお,本研究におけるインプラント周囲炎罹患インプラント体とは,デンタルエックス線検査により明らかな骨吸収を認め、かつ周囲ポケットから排膿を認めるインプラント体とし,歯周病罹患歯とは,歯周ポケット6mm以上を有する天然歯とした.現在のところ,上記基準を満たす3名の患者を研究実施対象者として得ている. 2. 3名の研究実施対象者には,臨床診査プロトコルに従い臨床診査データを収集すると共に,インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯それぞれの周囲ポケットからペーパーポイントを用いて歯肉溝浸出液を採取した.また,インプラント周囲炎によって臨床的に不良肉芽組織の掻把が必要となった際には、除去した組織を採取した.今後これら臨床検体は,マイクロアレイ解析,次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,初期インプラント周囲炎患者30名をサンプリングし,経時的な臨床診査および軟組織,歯肉溝浸出液の採取を行う予定であったが,現時点での研究実施対象者は3名となっている.これは,サンプリングにおける選択基準を口腔内に健全インプラント体,インプラント周囲炎罹患インプラント体のみではなく,健全歯および歯周病罹患歯も含めて有する患者と選択基準の変更をしたことが理由の一つ考える. また,次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析がインプラント周囲の細菌叢の網羅的解析に最適だと判断し,そちらの準備に時間を有したことも理由の一つである.だが,これらは,本研究の目的達成には必要不可欠なことであり,研究成果に大いに貢献するものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
1. 初期インプラント周囲炎患者のサンプリングを引き続き行う. 2. 臨床的リスク因子同定のための臨床診査およびインプラント周囲炎に罹患した部位の軟組織や歯肉溝浸出液を経時的に採取し,得られた臨床検体はマイクロアレイ法や次世代シークエンサーを用いて解析する. 3. 得られた生物学的リスクマーカー候補因子に細菌叢および臨床データを加えて多変量解析,クラスター解析を行い,インプラント周囲炎進行のリスク因子を生物学的視点と臨床的視点の両面から明らかにする.
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