今後の研究の推進方策 |
(1)三叉神経運動核,縫線核部のSERT, 5-HT1A/2A受容体の局在測定方法の確立 雄SD系優性ラットにSERT, 5-HT1A/2A受容体を特異的に標識する分子プローベを注入する。すなわち,セロトニン神経終末上に存在しているSERTの標識には[11C]DASBを,セロトニン神経のオートレセプター(自己抑制受容体)である5-HT1A受容体の標識には[11C]WAY100635を用いる。併せて,三叉神経節後ニューロン上に存在し,非特異的陽イオンチャンネルを開き,陽イオンのシナプス内への流入を増加させることにより,過分極後の静止膜電位への回復を助長し,その結果運動神経の後シナプスのfiring感度が上昇するカスケードの開始点である5-HT2A受容体の標識には,[11C]NMSPを用いる。これら分子プローベは,岡山大学大学院に併設されている地域産学官共同研究拠点である岡山イノベーションセンター内の分子イメージング部門との共同研究にて行う。 これらポジトロンを放出するRIで標識したPETプローブ([11C]DASB, [11C]WAY100635, [11C]NMSP)をラット体内へ投与し,その分布を小動物用陽電子放出断層撮影(PET)カメラ(Clairvivo PET,島津製作所社製)により断層画像として得るとともに,小動物用 in vivo CTシステム(eXplore Locus,GE Healthcare社製)にてCT撮影を同時に行うことで,ラットの三叉神経運動核や縫線核部といった部位特異的なSERT, 5-HT1A/2A受容体の局在を解析する手法を確立する。なお,これらの機器は既に設置されており,PET-CTの撮影技術も他の小動物では確立されている。
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