ニッケルアレルギーモデルマウス製作方法を応用して,ニッケルの代わりにチタンを用いてアレルギーを誘発できるかどうか,昨年度より条件検討を行ってきた. 酸化チタンを用いて,腹腔内投与+耳介皮下投与,腹腔内投与+耳介皮膚への直接塗布,腹部皮膚への直接塗布+耳介皮下投与,腹部皮膚への直接塗布+耳介皮膚への直接塗布,といった方法で,マウスをチタンで感作してアレルギーを惹起させようとしたものの,コントロール群と比較して有意な耳介の腫脹,すなわちアレルギー反応は見られなかった. また,同様に昨年度より引き続き,in vitroでのチタンの抗原性の検討として,マウス骨髄由来樹状細胞を酸化チタンで刺激した後,サイトカイン産生と種々の遺伝子発現を解析した.その結果,ネガティブコントロール群との有意な差はいずれも見られなかった.特に,ニッケルで有意に活性が上昇するMKK6/p38経路もチタン刺激ではリン酸化が進行しなかった. さらに,チタンで刺激した樹状細胞もしくはT細胞を正常C57BL/6マウスの腹腔に移入してアレルギーの誘発を試みたが,明らかなアレルギー症状は観察されなかった.
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