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2012 年度 実施状況報告書

注射投与可能な生体内分解性骨置換材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24792093
研究機関九州大学

研究代表者

益崎 与泰  九州大学, 大学病院, 助教 (80588103)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード国債情報交換
研究概要

インプラント治療が欠損補綴治療の主要な選択肢になるにつれ、骨量不足部位など、より適応症の拡大へのニーズが増加しており、その際に様々な骨移植材が用いられている。しかし通常用いられている材料にはそれぞれ利点・欠点があるため、操作が簡便で、十分量の供給が行え、生体内で早期に骨置換する、安全な人工材料の開発が必要である。本研究ではポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)およびポリエチレングリコール(PEG) をキャリアに、骨に置換しやすいリン酸四カルシウム(TTCP)、さらに骨形成促進の可能性のあるスタチンを用いて注射可能な体温硬化型新規骨補填材の開発を行うこととした。本年度の予定としてはPLGA-PEG-TTCP複合体の作製および物性の検討・評価を中心に行うことを予定していた。PLGA-PEGの作製自体は困難であったため、市販のPLGA-PEGを購入して適当な濃度に希釈しTTCPおよびHAPを混ぜ合わせることにより,注射可能な複合体を得ることができた。
しかし生体外で硬化した状態の物性を確認すると弾性があり、硬化体としては物性が弱いことが確認された。
弾性のある複合体に骨置換性があるかどうかを検討するために頭蓋部に注射し2週、4週後の組織反応を見たところ、壊死や炎症反応は見られなかったものの、早期に被抱化が生じており、骨への置換はほとんど見られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PLGA-PEG-PLGAとTTCPおよびHAPを混合することで注射可能な骨補填材の作製は可能であることが分かった。しかし硬化体は弾性があり強度が低いため、その後の治癒期間中に外部からの圧力で変形する可能性が高いと考えられる。また生体内に注射したところ、軟組織による被抱化が生じており、骨の置換は今の状態では難しいものと思われる。
考えられる理由としてはPLGA-PEG-PLGAの物性の問題(分子量、希釈倍率)、混合する骨補填材自体の物性(リン酸四カルシウムは予想より骨に置換しにくい、ハイドロキシアパタイトは骨に置換しにくいことを確認)が原因と考えられる。

今後の研究の推進方策

1材料の再検討
今回はPLGA-PEG-PLGAの分子量が低いこと、希釈が強すぎたこと、骨補填材として選択した材料が骨に置換しにくい等の問題があったため、置換が起きる以前に被抱化のほうが進んだのではないかと思われる。今後はキャリアの分子量の変更(より強度の強い分子量)、混合する補填材の選択肢を増やす(リン酸三カルシウム(β-TCP)など置換しやすい材料の選択)などを行い、体温で硬化する補填材の作製を行い、硬化体の物性をより詳しく検討していく。
2生体内での硬化体の反応
早期に生体内での反応を確認し被抱化が起こらないか、骨に置換するかの検討を行う。
骨置換が生じていれば、さらに成長因子や骨形成促進の可能性のあるスタチンも混合して、さらに骨形成が行われるかの検討を行っていく。最後に毒性等がないか生体内、細胞両面から確認していく。

次年度の研究費の使用計画

本年度の研究費は引き続き人工骨作製用材料、細胞実験材料、および動物実験物品費の購入を主に行い、研究調査のための旅費、論文執筆のための費用として使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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