CTデータを用いた骨質評価に基づくインプラント治療プロトコールの選択法を確立することを目的として実験を行った。そのために、CT値と皮質骨の厚さを計測することによりインプラント埋入予定部位の骨質を客観的に評価し、インプラントデザインの違いにおける骨質と初期固定の相関を比較検討した。 試料としてブタ大腿骨頭を用い、CT撮影用兼手術用のステントを作製した。その後、医科用CTで撮影を行い、画像解析ソフトを用いて、インプラント埋入予定部位の周囲骨の平均CT値を算出した。次にStraight Implant 22本(Straight群)、Tapered Implant 23本(Taper群)を準備し、ステントを用いてメーカー推奨のドリルプロトコール通りに埋入窩を形成した。インプラント埋入時に最大埋入トルク値(ITV)とImplant Stability Quotient(ISQ)を測定し、その後インプラントを除去時の最大除去トルク値(RTV)を測定した。続いてブタ大腿骨を埋入窩の長軸方向に切断し、ノギスで皮質骨の厚さを測定した。 統計解析は、骨質(CT値および皮質骨の厚さ)と初期固定値(ITV、ISQ、RTV)との間,および各初期固定値間の相関分析を行った。 Straight群において、CT値とITV、ISQ、およびRTVとの間に強い正の相関を認めた。Taper群においても、CT値とITV、ISQ、およびRTVとの間にも強い正の相関を認めた。またStraight群において、皮質骨の厚さとITV、ISQ、およびRTVとの間には相関を認めなかったのに対し、Taper群においては皮質骨の厚さとITV、ISQ、およびRTVとの間に有意な相関を認めた。 本研究の結果から、両インプラント群において埋入予定部位の周囲骨のCT値から、インプラント埋入時の初期固定値を予測できる可能性が示唆された。
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