研究課題/領域番号 |
24792107
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
岡根 百江 昭和大学, 歯学部, 助教 (30514731)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 義歯維持力 / 有床義歯 / 無歯顎者 / ひずみゲージ |
研究概要 |
【目的】開発した義歯維持力測定装置の臨床応用に先立ち、健常な上顎無歯顎患者が使用している義歯を用い測定条件を規定することを本年度の目的とした。 【方法】金属製の測定杆にひずみゲージ(KFG-5-120-C1-11®、 KYOWA)を付与し、PCとセンサインタフェース(PCD-330B-F®、 KYOWA)に接続した装置を維持力測定装置とし、計測する義歯には牽引用に義歯被覆装置を製作した。被験者として問題なく上顎全部床義歯を使用している上顎無歯顎者3名を選択した。義歯に人工唾液を塗布し口腔内に十分に圧接後、維持力測定装置を用いて、1 N/secの速度で維持力を測定した。義歯が口腔内から離脱した時の値を維持力とした。測定部位を5カ所設定(①:後縁 ②:正中線と左右第一大臼歯中心窩を結んだ線の交点 ③:左側第一大臼歯中心窩 ④:左右中切歯切縁の中間点 ⑤:右側第一小臼歯頬側咬頭頂)しそれぞれ5回の測定を行った。 【結果と考察】 ②③の部位では1名のみ義歯が離脱した。①④⑤の部位ではすべての被検者で離脱した。②③で義歯の維持力を測定することは困難であることが明らかになった。①での離脱力と、④⑤での離脱力には正の相関がみられた。 【結論】①の部位を測定するには義歯被覆装置が必要である。④⑤の部位の測定は義歯に直接維持力測定装置をあてて測定することが可能である。④⑤の部位の測定により、義歯の相対的な維持力を測定することが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標である維持力測定装置の完成はほぼ達成できた。測定部位についての検討は次年度も引き続き行っていくが、被験者への測定方法が確立され、測定も熟練してきており、次年度はさらに被験者を増やして測定を実施していけるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、被験者数を増やし、測定部位の関連性の検証と測定部位の決定を行う。 次に、対象者をドライマウス症状のある群とない群に分け、乾燥状態~口腔保湿剤を応用した状態について、義歯維持力の変化を検証し、対象者の口腔保湿剤に対する主観的評価と各口腔保湿剤の物性データを元に多変量解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も測定を実施するための消耗品の購入、データ解析に必要な経費、成果報告のための旅費に使用する予定である。
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