研究課題
姿勢維持筋である頸筋は、覚醒時からnon-REM睡眠(NREM)、REM睡眠(REM)へ移行するにつれて活動が低下する。一方咀嚼筋は、下顎の姿勢維持のほか、咀嚼など高い収縮強度を示す口腔機能を担うが、筋活動の日内変動の詳細は不明である。そこで我々は、マウスを用い咀嚼筋の一つである咬筋の活動を24時間記録し、明暗リズムと睡眠-覚醒リズムの影響を解析した。動物は10から20週齢の雄性C57BL/6系統のマウスを19匹用い、脳波、眼電図、頸筋および咬筋筋電図を記録した。マウスは12時間の明暗サイクルで飼育し、記録電極設置の手術後1週間の回復期間の後、3回のトレーニングで馴化し、1日の休憩期間の後、上記の生体電気信号を24時間記録した。咬筋および頸筋の筋活動は10秒エポック毎の積分値を求め、覚醒時の平均値を100%として正規化し評価した。覚醒時の咬筋および頸筋の平均活動量は、暗期・明期に関わらずNREMおよびREMの活動量に比べて著しく高かった。一方、覚醒時およびNREMの咬筋と頸筋の活動量は、暗期から明期の移行期で有意に低下した。そこで、咬筋と頸筋の活動量の相関性を各睡眠ステージで調べると、NREMで両筋に相関を認めたが、覚醒時およびREMでは相関性を認めなかった。さらに、咬筋と頸筋のそれぞれの筋活動量の分布を各睡眠ステージで調べると、覚醒時およびNREMで咬筋活動は二峰性の分布を示したが、頸筋活動はすべての睡眠ステージで一峰性であった。咬筋および頸筋の筋活動量は明暗リズムと睡眠-覚醒リズムの影響を受けるが、明暗リズムより睡眠-覚醒リズムからの影響が大きいことが分かった。また、咬筋活動は覚醒時だけでなくNREMでも二峰性を示したことから、咬筋は覚醒時に下顎の維持や咀嚼運動などの多様な運動に関与するだけでなく、睡眠時にも少なくとも2種類の入力を受けると考えられる。
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http://www.showa-u.ac.jp/sch/dent/major/prostho/index.html
http://www10.showa-u.ac.jp/~oralphys/gyoseki.html