研究課題
これまで、チューイングが精神的ストレスを緩和することは、唾液中のストレス指標を用いた研究により明らかとされている。しかし、チューイング時のどの運動要素が精神的ストレスの緩和に関与しているかについては、限られた報告しかない。本研究では運動要素の中のチューイング力に着目して、チューイング力の違いによる精神的ストレスの緩和に及ぼす影響を唾液中のストレス指標(神経系の指標であるアミラーゼ活性、内分泌系の指標であるコルチゾール濃度および免疫系の指標であるs-IgA分泌率)を用いて検討することを目的とした。研究結果により、チューイング力がストレス緩和に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、唾液中のストレスマーカーとしてコルチゾール濃度がチューイングの研究には最も有効であることも示唆された。一方、ほとんどのチューイングによるストレス緩和の研究は若年者に対してであった。これまで、高齢者に対して、若年者と同様にストレスが緩和するという報告はない。そこで我々は、高齢者に対して、チューイングがストレスに及ぼす影響を唾液中コルチゾール濃度を用いて検討した。その結果、高齢者は若年者のようには、チューイング時にストレス緩和をしなかった。その理由として、高齢者は若年者と違い、口腔内環境の不均一性が高いことが考えられた。今後は、口腔内環境によって高齢者をグループ分けして、グループごとに、ストレス緩和しやすい方法を検討する必要がある。
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