研究課題/領域番号 |
24792117
|
研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
新谷 明一 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (60440054)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | フィンランド |
研究概要 |
本研究では,異方性材料であるグラスファイバー補強コンポジットレジン(FRC)インプラントの力学的に合理的で個々の患者専用の設計を目的とし,有限要素法(以下,FEM)を用いて構造力学的検討を行う.平成24年度では以下の研究を予定していた. 1.FRCの材料的特徴は異方性材料が正確に反映できるように,予備実験としてFRCの材料特性を三方向の実測値(材料特性)を計測する. 2.最適設計及び応力解析をするにあたり,各既存のメーカーのインプラント3D-FEモデルを作成する.モデリングに際し解析対象のCT撮影を行い,3DCTデータを作成する. 3.3DCTデータは応力解析を行う汎用有限要素法解析プログラム“アンシス”に読み込ますことができないため,まず,CTデータを三次元可視化プログラム“ミミックス”と“メカニカルファインダー”を介して要素作成プログラム“アンシスICEM”に移行し,アンシスICEM上にて有限要素モデルの作成を行う. 4.アンシスICEMにて作成した3D-FEモデルをアンシスに移行し,応力解析を行う.結果のFRCインプラント体に荷重がかかった際の変形・応力状態・ひずみ状態を視覚的に観察し,設計指針となるべく評価をする.さらに,結果に対して形状を変化させ繰り返し応力解析を行うことで,設計最適化解析を行う.現在の段階では計画の1~2までが終了し,現在段階3と4とから得られた予備解析の結果について考察を加えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現段階では,従来均一な材料と定義するほかない骨を不均一な非線形材料と扱えるよう,ヒト骨格ファントームを基にCTデータ製作し,それらを基に不均一な骨の特性を反映させたFEモデルの製作が完了した.しかしながら,大学での倫理審査の必要性や撮影対象ファントームの選別に多大な時間がかかったた. また,使用材料であるFRCは,材料の特性が方向によって異なる「異方性材料」と定義されるため,多くの材料特性が必要となる.それぞれの繊維の方向に対して物性の計測が必要であるため,試験片作製にあたり多量のFRC本材料が必要であった.そのため,十分な材料を入手するのに,時間が必要となった.現段階では,異なるFRC材料の繊維方向による材料特性の計測に用いる試験片が全て揃い,計測を行っている. 上記の事柄より,実際の解析作業がやや遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は以下の研究を目標としている. 1.顎骨のモデリングに際し解析対象をファントーム(X線撮影用の人体模型)と想定し,CT撮影を行い,3DCT顎骨データを作成する. 2.作成された3DCTデータは上記と同じ方法でアンシスにインポートし,すでに作成されたFRCインプラント体FEモデルと合体させることで,仮想インプラント埋入を行う.その後,骨の硬さを変化させながら応力解析と設計最適化を繰り返す. 3.以上のプロセスから得られた結果を視覚的・数値的視点から観察し,さまざまな骨の硬さに対して最適なFRCインプラントの形態につて考察を行う.その後,結果より得られた設計を忠実に再現したFRCインプラントを作成し,機械的検討を加えるべく材料試験や臨床応用を関連機関と連携しながら行い,それらよりフィードバックする. 現段階で,目標の1はおおよそ終了,顎骨データは完成しているが,そのデジタルデータが情報の欠落を無しに他のデータと統合できるかは,時間のかかる作業であると予測される.また,FRCの材料特性測定が終了すれば,新たな条件での予備解析を行う事が可能となる.本年度は現段階で得られた研究結果の発表を予定している.
|
次年度の研究費の使用計画 |
パーソナルワークステーションを用いた有限要素法解析は,専用の汎用有限要素法解析プログラム“アンシス”を必要とする.その維持には毎年ライセンス維持料が必要である.また,解析結果を判定するためには色再現の高いモニターが必須である.研究結果の発表に際し,実験試料を撮影し,理解しやすいプレゼンテーションの作成が,広く結果を広める重要な手段である.また,発表では主にパソコンを用いたプレゼンテーションが主流であるため,研究発表用の小型ノートパソコンが必要となる.小型ノートパソコンについては平成24年度の末期に注文・購入を行ったため,支払に関しては年度内に請求が間に合わず,平成25年度への繰り越しと,支払となった.研究結果の発表には,共同研究を行っている関係より,国際学会での発表を予定している.
|