研究課題
若手研究(B)
本研究課題の目的である脳の高次機能ネットワークの視点から咬合不全による脳のストレス関連ネットワークと咬合医療を用いた精神機能障害の治療を社会にアピールすることのスタートとして、各歯種の役割を脳機能の観点より明らかにできないかに着目し、光トポグラフィを用いて検討した。被験者(全ての歯種の歯髄を有する健常ボランティア)12人に対し、上下顎の前歯、犬歯、第一小臼歯、第一大臼歯に対してそれぞれコントラアングルハンドピースを用いて一定の力で振動刺激を与えた結果、大脳皮質の一次感覚野における脳活動範囲が他の歯種と比較して上下顎とも第一大臼歯が特異的に大きいことが分かり、第一大臼歯の感覚入力が他の歯種と比較して感受性が高いことが示された。以上のことより、口腔からのモダリティ情報が咀嚼器官と脳のストレスのクロストークに重要な役割を果たしている可能性が示唆され、実際臨床を行う上で大きな指標の一助となると考えられた。光トポグラフィは他のニューロイメージング技術(fMRI、PET、MEG等)と比較し、撮像手法が容易で撮像時被験者の体勢も自由度が高い(ある程度の体動も許容される)ため、今後実際の臨床現場における臨床応用が期待される手法である。また、咬合異常によるストレス状態を脳の機能回路の賦活化でとらえ、個々人によって異なるストレス状態の客観的事実と個人が主訴する心理生理学事実を世界に先駆けてシステム的に解明することは、ヘルス・プロモーションに果たす口腔器官の役割を日本発の情報として国外に発信する上で社会的に大きな意義が有ると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
咬合を構成する要素である各歯種の役割を、健常ボランティアを対象に脳機能から客観的に意義付けすることができたため、脳の高次機能ネットワークの視点から咬合不全による脳のストレス関連ネットワークを探索する本研究課題の目的の重要な基盤を築けたと考えられる。
本年度得られた健常ボランティアデータを基により臨床にフィードバックさせるため、今後は患者ボランティアを対象に、各歯種における補綴治療等による効果を脳機能部位という視点から明らかにし、咬合と脳のストレス関連ネットワークをより臨床に即した形で探索していく。
本年度より膨大に集められたデータを解析・管理・保管するためにコンピュータ関連の備品・消耗品の購入が不可欠となる。また、得られた研究成果を業績としておさめるためには、学会発表・参加、論文執筆・投稿等の積極的な報告活動が必然となり、そのための経費として使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
Jornal od Dental Reserch
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