研究課題/領域番号 |
24792123
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
大郷 友規 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (70435121)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 炭酸ガスレーザー / 低反応レベルレーザー治療 / ソケットプリザベーション / 創傷治癒促進効果 / 病理組織学的検証 |
研究概要 |
炭酸ガスレーザー照射におけるソケットプリザベーション効果および創傷治癒促進効果を誘導する為には低反応レベルレーザー治療(以下LLLTと略す)照射条件の確立が必要不可欠となる(LLLTは照射時の熱量が30~50mj、組織学的に不可逆的変化を呈さず、照射した組織を活性化させる)。予備実験としてラットの口腔粘膜に照射総熱量40、80、120mjと3群に分け照射を行い、照射後6時間後に屠殺を行い病理組織学的に観察した。結果120mj群では粘膜上皮の実質欠損と組織の炭化、80mj群では上皮層と粘膜下層との間に水疱形成を認めたのに対して、40mj群では不可逆的な組織変化を呈さなかった。よって照射総熱量40mjにおいてLLLT効果が発揮されると判断し条件設定した。実験術式は実際の臨床同様の術式に沿って抜歯→出血の為のレーザー照射による血液凝固(人工的痂皮形成)→術後1日の抜歯窩へのLLLT照射とした。肉眼的所見としてLLLT照射群では対照群(レーザー非照射群)と比較して抜歯窩粘膜の陥凹が非常に少なく、抜歯窩の閉鎖も早期で認めた。組織学的所見では通常抜歯窩の新生骨は抜歯窩底部から徐々に浅層に向けて形成されていくのに対して、LLLT照射群においては抜歯窩の底部からの新生骨形成はもちろん抜歯窩浅層~中層にかけて架橋状の骨形成を確認した。恐らく抜歯直後にレーザーを高出力で照射し人工的痂皮形成を行った血餅を足場として、またLLLT照射による創傷治癒に係る細胞の遊走を誘導する効果もあり破骨細胞および骨芽細胞が浅層~中層にかけて有意に多数の遊走が認められ骨形成が浅層部において活発に起こったものと考える。以上より臨床的に報告される抜歯後のLLLT照射による抜歯窩の骨レベルの低下を抑制することが動物実験的にも示唆することができる結果である思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初ラットの第一臼歯の抜歯の熟練および抜歯器具の試作で時間がかかると思われていたが、歯根の未完成な時期である5~6週齢のラットを用いることで容易に抜歯することが可能となったため施術習得に期間を費やすことがなくなったため、すぐに実験に取り掛かることができた。もう一つの問題であったLLLT照射条件の設定に関しても、予備実験においてLLLT効果を発揮するとされる照射総熱量30~50mj(平均40mj)、粘膜への不可逆的な組織変化を呈さない最適な照射出力、距離、時間およびモードを早期の段階で見当をつけることができたという良好な2つの要因があり、その結果当初計画通りに研究が進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画はおおむね順調であるが、まだ検体数が少ないためH24年度計画の同様の実験を行う。検体数がある一定程度確保できた後にH25年度の実験に移る予定である。H25年度の研究において、抜歯窩内のタンパク成分や細胞成分(以下「窩内内容物」)の分子化学的および生化学的解析を計画していたが、実際ラットの第一臼歯の抜歯窩を肉眼的に観察すると窩内内容物を採取することが容易ではないようであるが、抜歯器具の時同様に採取する器具の自作を行えばある程度可能であると考える。しかし採取した窩内内容物を実数値では表示することは不可能であると考えるので、得ることができた数値をパーセンテージとしてデータを表示する他ないと思う。これに関しては採取する為のトレーニングが必要と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
前述のように研究はおおむね順調であるが検体数がまだ十分でないため、25年度の当初はH24年度の実験を行っていく予定である(6~7月を目途に)。その後は論文作成および投稿に向け資料の収集をおこないながら、H25年度の研究を遂行していくために研究費を使用していく。
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