研究課題/領域番号 |
24792126
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
前田 恵子 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (30529938)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 睡眠 / 歯学 |
研究概要 |
本研究の目的は、閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者(Obstructive Sleep Apnea Syndrome; OSAS)において、歯列弓形態・口腔内容積が睡眠時の上気道閉塞性に及ぼす影響を3次元的に解明し、さらにそれらが口腔内装置(Oral Appliance; OA)の治療効果に与える影響を解析することである。OSAS発症への顎顔面形態の関与は既に明らかとなっているが、顎骨だけでなく歯列弓形態も気道閉塞性に影響を及ぼすと考えられる。そこで24年度では、日本人男性OSAS患者を対象とし、歯列弓形態および口腔内容積を3次元的に計測し、それらとセファログラム分析を合わせて睡眠呼吸障害指数との関係について次の検討を開始した。(1)口腔内容積の大きさはOSAS発症・重症度に寄与するか?:従来よりリスクファクターとされている年齢・BMI・顎態に加え、口腔内容積の大きさもリスクファクターであるかを明らかにするために、OSAS重症度を従属変数、年齢・BMI・顎態・口腔内容積の大きさを独立変数としてロジスティック回帰分析を行う。(2)OSAS患者における口腔内容積の大きさと各歯列弓形態パラメータとの関連:口腔内容積の大きさに大きく関与する因子を同定するために、従属変数を口腔内容積の大きさとし、歯列弓長径・幅径、Overjet、Overbite、舌房横断面積、口蓋および舌房矢状面積を独立変数とし、重回帰分析を行う。(3)口腔内容積に関与する因子とOSAS重症度の関連:口腔内容積を構成する上記歯科的パラメータの内、どの因子がOSAS重症化に関与するかを同定するために、AHIを従属変数、各パラメータを独立変数として重回帰分析を行い、OSAS重症度と各パラメータの大きさとの関係を検討する。このようなプロトコールにしたがって、引き続き25年度以降もサンプリングと解析を継続する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の開始にあたり、はじめに3Dレーザースキャナーによるデータの採得およびスキャンデータ処理ソフトによるデータ解析を行うシステムを構築したが、構築にあたり、スキャン環境やスキャンのパラメータ設定、ソフトウェアによるデータの3D化に多少時間が掛かったものの、その後のデータ採得・解析は概ね順調に進んでいると考えている。現時点で得ているデータは25年6月に学会発表を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度は24年度引き続きサンプリングと解析を行うと同時に、口腔内容積に関与する因子と口腔内装置治療効果の関連についての検討を開始する。24年度研究計画にて対象となった患者のうち、下顎前方移動型OAによる治療に移行し、終夜の装置使用が安定して行えるようになった者に対して、装置装着下におけるPSG検査を行う。このとき得られたAHIと初診時AHIから改善率{(術前AHI-術後AHI)/術前AHI×100}(%)を求める。AHI改善率が50%以上確認された場合を治療成功とみなし、治療効果の有無を従属変数、各パラメータを独立変数としてロジスティック回帰分析を行い、治療効果と口腔内容積ならびにこれを構成する歯科的パラメータとの関連を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費使用額が、交付予定額より90万程少ない理由としては、申請時に購入を予定していたセファログラム分析ソフトウェアに代わるソフトウェアを自作したこと、3Dスキャンシステム構築の遅れによりデータ採得・解析に若干の遅れが生じたことが挙げられる。データ採得に若干の遅れが生じることにより、申請時に想定していた24年度の被験者謝礼件数が少なかったこと、また発表を想定していた学会での成果発表が出来なかったことがその理由である。 25年度は24年度に引き続きデータ採得を行い、上記の遅れの分の研究費を使用する予定である。
|