昨年度、東京都健康長寿医療センターにて行った実験の解析を主に行った。 PETにてインプラント埋入後のインプラント周囲骨の骨代謝動態をリアルタイムに把握、またCTを併用することにより、解剖学的に正確な位置情報を獲得することができた。これらのデータを合わせて解析することにより、インプラント埋入後の骨代謝動態の変動と骨密度の変化との関連についての考察が可能となった。撮像後coincidence、reconstructionを行い、画像解析ソフトPMODにて解析を行った。CT画像では、インプラント周囲骨の骨密度測定、骨梁構造の観察、体積測定を行う。また、組織学的な裏付けを行うため、組織標本を作成、組織学的・組織形態学的評価を行った。新生骨と従来骨との境界が明瞭になるようビラネバゴールドマン染色を用い、PET画像、CT画像と合わせて代謝活性と骨新生との関連および、新生骨の分布と骨密度との関連を評価した。 従来の実験で用いた骨シンチとの比較に関しては、PETを導入したことにより、3次元解析が可能となっただけでなく、飛躍的に敏感に捕捉された骨代謝活性が高精細に描出されるようになった。また、経時的な代謝活性動態については、2つの結果にやや違いが認められた。PETデータでは即時荷重により中期から晩期の骨代謝活性は減衰したが、骨シンチのグラフでは即時荷重群で高い代謝活性を保った状態が続いた。この相違は原因についてそれぞれのトレーサーの違いが主な原因と考察された。
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