唾液腺障害は頭頸部癌に対する放射線療法等により生じ、口腔機能障害の原因となっている。今回我々はRock作用薬を用いた新規の唾液腺培養法を考案し、その有用性の検索を行った。結果としてRock作用薬の下流に位置する細胞形態因子に作用することで、唾液腺細胞が形態を変えずに培養が可能であった。さらにヌードマウスに移植して作成した腫瘤においても、唾液腺マーカーを発現していることを確認した。一方、Rock作用薬の生体への応用の安全性を確認する目的で遺伝子学的および病理学的な毒性試験を行ったところ、有害性は認められなかった。以上より、獲得したデータは、唾液腺細胞治療確立を目指すうえで非常に有用と考えられた。
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