研究課題/領域番号 |
24792136
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
寺田 典子 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (60374550)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 液中プラズマ放電 / ナノ・ディンプル / 歯科インプラント / 口腔粘膜上皮細胞 |
研究概要 |
1.液中プラズマ放電ナノディンプル付与チタンの作製 (1)チタン板にプラズマ放電をかけたが、板の辺縁にスパークが生じ、板の全面にナノディンプルを付与することが出来なかった。このため、チタン板の代わりにチタンチューブを用いてプラズマ処理を行ったところ、辺縁がないことから、スパークを生じさせずに、チタン表面全体に表面に均一なナノディンプルを作製することが出来た。(2)液中プラズマ放電の電圧、電流、処理時間条件を変えて、チタンチューブを処理したところ、ディンプル付与表面の性状やディンプル作製量に差が生じた。 2.プラズマ放電処理されたチタン表面の形態、性状の解析 (1)走査型顕微鏡では、221V, 2.6Aでプラズマ処理10分では、221V, 2.6Aでプラズマ処理5分より、ナノ単位のディンプル量が多く、マイクロ単位の凹凸が少なかった。(2)ディンプル付与表面に対し、元素マッピング分析を行ったところ、表面の酸化層の他にカリウムやリンも存在した。これは、プラズマ処理に用いた電解液がチタン表面に組み込まれたと考えられる。 3.ヒト口腔粘膜上皮細胞を用いたナノディンプル付与チタン上での培養における細胞親和性の確認 (1)チタンチューブを細断することで、湾曲の少ない細胞培養基材を作製し、これを用い、細胞培養を行った。(2)当初、細胞播種数を1.5×104cells/cm2としたが、細胞播種集が少なすぎたため細胞増殖を確認することが出来なかった。そこで、最適細胞播種数を変更し6×104cells/cm2で培養を試みたところ、ナノディンプル付与チタンはヒト口腔粘膜上皮細胞に対し、親和性があり、細胞増殖も認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一番の理由は、基板作製に多大な時間を弄したことにある。 1.実験計画を立てた当初、チタン板を用いて行う予定であったが、予想外にナノディンプル付与が出来ず、最適基板を探すのに時間を費やした。2.最適基板を見つけたものの、細胞培養を行うには形態が不適切であったため、細胞培養に適切な形態を模索および作製するために時間が費やされた。 この2点を解決するのに約10か月近く要した。 そのため、初年度に行う予定であった、ヒト口腔粘膜上皮細胞を用いた2次元培養の着手が遅れてしまった。 以上のことから、現在までの達成度は、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、細胞培養に用いるナノディンプル付与チタンの培養基板作成法を確立したため、細胞培養に障害がなければ、非常にスピーディーに細胞培養実験を進めることが可能となった。 また、3次元培養に関してチタンチューブの形態を壊すことなく培養に用いることが出来るので、3次元培養用の培養基板の作製に時間を費やさずに行える。 今後は、1.通常培養および炎症惹起状態での2次元培養(1)形態学的分析(2)細胞増殖、細胞代謝活性の分析(3)細胞接着に関与する細胞骨格と接着分子発現の分析 2.通常培養および炎症惹起状態での2次元培養(1)形態学的分析(2)細胞接着に関与する細胞骨格と接着分子発現の分析 を行い、学会、論文発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費総額に対し、以下の割合で使用予定とする。 1.物品費(金属基板作製材料、細胞培養試薬、抗体・試薬類、細胞培養器具類など):65% 2.旅費(学会参加など):25% 3.その他(論文投稿など):10%
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