研究実績の概要 |
京都大学再生医科学研究所のMRI装置を用いて被験者に対して顎運動の撮像を行い、その画像解析を行った。多断面動的撮像手法を用いた顎運動の撮像、高解像度MPRAGEシーケンスを用いた筋肉のボリューム解析、T1値,T2値撮像を用いた特性解析、twice refocused spin echo EPIDiffusionシーケンスを使用した筋肉の内部構造解析を行った。これらの解析を実施し相関を評価することにより、顎運動の軌跡と顎関節状態または咀嚼筋との間に関連性があることが明らかとなった。また画像軌跡解析を行い、頭蓋骨3次元モデルと組み合わせることで3次元での顎運動状態をわかりやすく把握することが可能となった。 次にこれらの顎運動データ等をシミュレーションシステムに入力するために、顎運動MRIデータおよび高精細構造MRIデータからの自動顎運動解析手法およびレジストレーション手法等の開発を行った。得られた画像に対する各種画像処理手法を開発し、顎運動軌跡を取得した。結果として、自動処理により得られた顎運動の軌跡は、かなり正確であることがわかった。これにより高精度で高速な顎運動解析が可能となった。 最後に得られた顎運動データを組み込んだ力学解析システムの開発のため、有限要素法(FEM)解析ソフトウェアを用いて、医用画像から顎顔面領域の有限要素モデルを作成し、その中に顎運動の情報、顎関節の情報よび筋肉の情報等の各種情報を組み込んだ。このシステムを用いて力学解析を行った結果、顎運動異常による顎の力学的状況の把握、顎関節や筋肉(筋力)と顎運動異常との関連を見出すことができた。これは今後の臨床での顎関節症診断において有用な情報となりえると考えられる。
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