本研究の目的は、虚血環境下で機能を発揮し得る耐ストレス性の細胞を抽出し、それを自己fibrin gelに応用することで、予知性の高い骨再生法を開発することである。細胞源は歯科医が比較的アクセスしやすい歯根膜に求め、ヒト歯根膜細胞の培養中に短期間の重度低酸素環境下に細胞を晒すことで、耐ストレス性幹細胞群を抽出した。この細胞群は、未分化細胞関連因子を高発現しており、抽出後に再酸素化した条件下で骨、軟骨、脂肪の各成熟細胞への高い可塑性を発揮した。特に骨芽細胞分化への誘導性は高く、ラット頭蓋骨欠損モデルにおける移植実験においても、この細胞群とfbrin gelの複合体は生体内で高い骨誘導性を示した。
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