研究実績の概要 |
本研究の目的は低出力レーザー照射がフリーラジカル制御に与える影響について検討し、レーザー治療におけるエビデンスを得ることである。 本年度は昨年度までに得られた形態学的な検索結果を参考に、生化学的手法での検討を行った。具体的には活性酸素について、活性酸素合成酵素の活性(NADPHオキシダーゼ活性)および活性酸素消去酵素(Mn-SOD)のタンパク量の検索,一酸化窒素と活性酸素の反応物質であるperoxynitriteをnitrotyrosineをマーカーとして定量した。さらに、一昨年度定量した一酸化窒素の活性について再実験を行った。 その結果、NADPHオキシダーゼ活性はcontrol群ではレーザー照射により活性が上昇するが、LPS添加群では変化はなかった。Mn‐SODはレーザー照射によりcontrol群では発現は変化しないが、LPS添加群で発現が減少した。nitrotyrosineはレーザー照射によりcontrol群、LPS添加群ともに発現は変化しなかった。一酸化窒素の活性はレーザー照射によりLPS添加群において活性が減少した。 本研究により、低出力レーザー照射がフリーラジカル制御に与える影響について活性酸素合成酵素、活性酸素消去酵素、一酸化窒素、peroxynitriteそれぞれの動態が明らかとなり、低出力レーザーがフリーラジカル制御を通して生体に及ぼす影響の一端が明らかとなった。 本研究結果は、レーザー治療が生体に及ぼす影響についての基礎的知見であり、より安全なレーザー治療を実現する上での一助となると考える。今後、臨床応用するにあたりより生体に近い条件での知見を増やしていきたい。
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