研究課題/領域番号 |
24792162
|
研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
上村 直也 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (50610309)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 再生医療 |
研究概要 |
生体吸収性材料、α-TCP、人工コラーゲンそしてポリL乳酸などの新規骨置換材料をインプラントと同時に抜歯即時埋入することにより、再生医療の臨床応用を目指すことを最終目的としている。本年度において、in vitroの段階であるラット頭蓋骨欠損モデルを作製し、新規骨補填材料の一つであるα-TCPとコラーゲンの複合体材料を作製し、α-TCPとアテロコラーゲンの複合体(α-TCP/CS群)、ならびにアテロコラーゲン単独(CS群)の2群を実験群、欠損のみの群を対照群とし頭蓋冠骨欠損部に移植した。移植後2週、4週、6週で頭蓋冠を摘出しマイクロCTと骨質計測システムによる三次元構造解析を行い、ヘマトキシリンエオジン染色による病理組織学的評価を行った。移植後4週では対照群とCS群でLow値を示すBMD分布像を観察した。α-TCP/CS群でMedium値を示すBMD分布像を観察した。マイクロCT像では窩洞を埋める多くの硬組織像を観察した。骨体積率、骨塩量ではα-TCP/CS群が最も高い値を示した。病理組織学的評価は移植後2週で、α-TCP/CS群で窩洞を埋めるα-TCP顆粒が観察された。移植後4週ではα-TCP/CS群でα-TCP顆粒を囲む新生骨が観察できた。移植後6週では、対照群でわずかな新生骨が観察できた。CS群では既存骨と連続性がない新生骨が観察された。α-TCP/CS群ではα-TCP顆粒は吸収され伝導性骨に置換し、既存骨と自然移行している様相が観察された。 以上の結果から、アテロコラーゲンとα-TCPを複合化することで骨再生能が高くなることが明らかとなり2013年のOrthodontic Waves誌72巻1号P.23-29に掲載した. また、現在では実験手技においてではあるが、イヌを被検動物とした抜歯を行い、特別の小型インプラントを製作し埋入を行っている段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
in vivo 骨再生能の評価において、新規骨置換材料の評価を優先し、イヌを被検動物ではなく前段階としてラットを選択し、材料評価に時間を費やした。また、イヌ抜歯窩への即時インプラントである実験手技、そして小型インプラントの設計に予定していたよりも時間を要したため、予定より遅れていると考えられる。 エフォート割合が当初の計画どおりに割けなかったためでもある。
|
今後の研究の推進方策 |
in vivoにおいて、被検動物を小型動物から大型動物へ移し、新規骨補填材料の一つであるα-TCPとコラーゲンの複合体材料を、イヌ用に特別設計した小型インプラントと同時埋入を行う。2、4、6週後のμCTによる骨再生能およびオッセオインテグレーションを組織学的評価を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
被検動物としてイヌの抜歯窩、特に小臼歯部を使用するため、数十匹の搬入飼育が必要である。また、α-TCPとコラーゲンの複合体材料の作成費、および組織標本の作製のため研究費が必要である。
|