研究課題/領域番号 |
24792170
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
逸見 晶子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40613055)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨欠損修復 / 炎症 |
研究概要 |
本研究は、申請者が従来の研究で利用してきたラット頭頂骨規格化骨欠損モデルを利用し、修復が不完全のまま停止し残存した骨欠損に新たな炎症を与ることで、骨修復が再開して欠損が治癒するか否かを検討するという目的で実験計画を進めている。 今年度は、まず、骨の修復過程について詳しい知見を得るため、ラット頭頂骨に規格化骨欠損を作製し、修復骨の骨密度と構成元素の分布および濃度を解析した。全身麻酔下に、生後12週齢ラットの頭頂骨に直径3.8㎜の規格化骨欠損を作製し、術後1週、2週、4週および8週の段階でラットを4%パラホルムアルデヒドで灌流固定後、頭蓋骨を摘出し、規格化骨欠損部に形成された修復骨の骨密度をマイクロCTで定量解析した。さらに試料を非脱灰で凍結包埋して修復骨中央の切片を作製し、組織学的に検討した。また、切片を得た凍結包埋試料を凍結乾燥し、修復骨中央断面を対象に走査電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)を用いて構成元素の分布と相対的な濃度を解析した。 マイクロCT画像と組織像との検討で、術後1週で欠損部に修復骨の形成が認められ、修復骨の骨密度は術後週齢が増すに従い上昇した。SEM-EDXによる分析では、修復骨におけるCaの元素分布はPの元素分布にほぼ対応し、Cの元素分布とは相補的であった。術後週齢が増すに従い、CaとPの元素分布はその範囲を拡大し、Cの元素分布は縮小した。また、術後週齢とともに骨基質における元素濃度比Ca/Pは上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね、順調に進んでいるが、平成24年度の途中で研究員(大学院非常勤講師)から助教に採用され、教育などの新しい職務への対応に時間を要したため、当研究にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は二次欠損モデルについての検討を行う。修復が不完全で欠損が残存する8.8㎜の規格化骨欠損を作製し、骨修復について検討する。修復停止後に二次欠損を作製して実験的に新たな炎症を起こし、二次欠損修復についての検討を行う。具体的には、マイクロCTによる修復骨量と骨密度の検討およびSEM-EDXを用いた構成元素の分布と相対的な濃度の解析を行う。また、real-time PCR法を用いた遺伝子解析によって、typeIcollagen、osteocalcin、BSPなどの骨基質タンパクを産生する骨芽細胞の活性を検討し、in situ hybridization法により同骨基質タンパクを産生する骨芽細胞の局在パターンを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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