研究課題
本研究は、腫瘍溶解性ウイルスであるシンドビスウイルスをより安全に口腔癌治療へ応用するために、正常組織特異的なマイクロRNAに感受性のあるシンドビスウイルス(miRNA感受性SIN)の開発を目的としている。昨年度に引き継続きin vivoで、ターゲット配列を4回繰り返したmiRNA125bTx4感受性SIN(miR125bTx4SIN)の安全性と抗腫瘍効果を評価した。ワイルドタイプSIN(wSIN)と比較し、miR125bx4SIN投与後のマウスに体重の変化や副反応はなく、安全性が確認できた。次に、HSC2、HSC3を担癌させたマウスへ、miRTSINの静脈投与を1回107pfu/100μlを14日間隔で行い、腫瘍径の測定を60日間行った。しかし、有意な抗腫瘍効果は得られなかった。そこで、前作の複製能・細胞傷害性は高いmiR125bx2TSINの高感受性クローンと新たにmiR100Tx2SINを精製した。両miRTSINは正常細胞には傷害性を示さないが、癌細胞株(HSC2、3、HO-1-N1株)に対しては有意に細胞傷害性を示した。癌細胞では、miRNA100よりmiR125bの発現が低いが、miR100SINの方がより高い傷害性を示した。また、癌細胞間で比較しても、HSC2、3よりmiRNAの発現が高いHO-N-1に傷害性が高く示し、miRNAの発現量と細胞傷害性の相関が見られなかった。次に、前述同様に担癌マウスで抗腫瘍効果を対照と比較したところ、各miRTSINは陰性対照より優位に効果はあるが、wSINより腫瘍効果は減弱していた。以上、miRNAの発現と抗腫瘍効果が相関はしないことから、miRNAターゲットの選択、複製効率の向上性、メカニズムの解明が課題として残るが、治療用に安全で効果の高いmiRNA感受性SINが開発できることが示唆できた。
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PLoS One
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Int J Mol Sci
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