研究課題/領域番号 |
24792179
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
根岸 綾子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 非常勤講師 (70549972)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プロテオミクス |
研究概要 |
唾液腺がんの予後や遠隔転移を治療開始前に正確に予測できれば、唾液腺がん医療のオーダーメード化が可能になり、最終的には唾液腺がんの治療成績と患者のQOLの向上をもたらすことが期待される。唾液腺がんでは、一つの病変に様々な病理組織学的特徴を有する細胞集団が混在して認められ、様々な性格を持つ複数の集団を一つの唾液腺がんと考えて解析をすすめても、唾液腺がんの治療にとって画期的なマーカー分子を同定することが困難である。本研究は当施設で得られた詳細な臨床病理情報が付随しているアーカイブの唾液腺がんのホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE: Formalin-Fixed Paraffin-Embedded tissue)を用いて詳細なプロテオーム解析を行い、唾液腺がんの予後や遠隔転移を予測できる新規バイオマーカーを見出すことを目的とした。 平成24年度は、唾液線がん患者から得られたFFPE組織の匿名化を行った。臨床データとしての観察項目は、性別、年齢、病期、組織型、腫瘍発生部位、腫瘍径、浸潤・転移部位、既往歴、合併疾患、(放射線)化学療法併用の有無、化学療法剤の種類、容量、(放射線)化学療法治療効果、副作用発現とした。今回対象にした検体数は約30検体で、組織型としては、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺房細胞癌であった。各FFPE組織検体につき、癌細胞をマイクロダイセクトし、タンパク質をペプチドとして抽出した。現在は質量分析装置での測定を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、各検体のペプチド抽出までを目標としており、特にトラブルなく計画通り進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
質量分析装置での測定は、ペプチドの検出感度を向上させるために、低流速にチューニングした液体クロマトグラフィーでペプチドを分離し、高速スキャンのできる高分解能質量分析機BioTof-Q(Bruker社製)またはEsquire3000plus(Bruker社製)を用いて測定を行う。得られたペプチドの質量とイオン強度を、独自に開発した高速計算用並列コンピュータシステムなどを用いて定量化する。症例間の相関係数を定期的に計算し、LC-MSの安定性を評価する。 唾液線がん症例の1症例あたり約10万得られると予測される全ペプチドの測定値を用いて、Student-T検体、Mann-Whitney U-検定など方法で統計学的な解析を行い、腫瘍の病期、組織型、腫瘍発生部位、腫瘍径、浸潤・転移、化学療法治療効果、患者の予後などと相関するペプチドを検出する。 同定したペプチドの液体クロマトグラフィーの溶出時間(retention time)と質量をもとに、タンデム質量解析(MS/MS: tandem mass spectrometry)を行う。得られたデータはMasocot serverにてデータベース解析を行い、由来するタンパク質を同定する。 同定した分子のうち、抗体の入手可能なものについては免疫組織染色にて発現解析を行い、質量分析の定量結果を確認する。 学習セットで得られたバイオマーカーについて、解析に用いなかった症例を検証セットとして免疫組織染色あるいはリアルタイムPCRで解析し、再現性を確かめとともに、潜在的リンパ節転移の存在、化学療法奏功性などを予測するマーカーを確立する。単一のマーカーで診断が困難な場合はマルチマーカーによる診断モデルの構築を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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