研究課題/領域番号 |
24792180
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
友松 伸允 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30613591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 顎骨浸潤 |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌は強い局所浸潤能を有し、特に顎骨への浸潤は臨床的に重要な問題点となる。顎骨に浸潤した扁平上皮癌は、顎骨を大きく切除をせざる得ないことが多く患者のQOLに大きく影響する。顎骨浸潤についてのマウスを用いた動物実験はこれまでも散見されるが、顎骨と長管骨では、その性状が異なり、顎骨を用いた実験を行った方が望ましいと考えられる。そこで本研究目的は、申請者が考案したマウス下顎切歯抜歯モデルを用いて、口腔扁平上皮癌 顎骨浸潤モデルを構築し、破骨細胞を誘導するTNF-αシグナルを抑制することにより顎骨浸潤を抑制できないかを考察することにある。 平成24年度は、申請者が大学院時代に考案したマウス下顎切歯抜歯窩骨新生モデル(J Bone Miner Res, Vol.24(10), pp1770-1781, 2009)をアレンジし、抜歯窩に扁平上皮癌細胞を注入することにより、実験の基本となる顎骨浸潤モデルを構築することを目標にした。マウスは10週令の雄のヌードマウス(KSN)を用いて行い、コントロール群(抜歯のみ)、コラーゲン注入群、癌細胞(コラーゲンに浸したもの)注入群の3群7匹ずつに分けて行った。下顎切歯を抜歯して、抜歯窩に癌細胞(HSC-3)を注入後4週間で、マウスを屠殺した。ホルマリン固定した下顎骨を採取し、μCTなどで3次元画像を確認し、顎骨浸潤による骨吸収を評価している。顎骨浸潤の有無、腫瘍の広がりなどについて現在解析中であるが、若干解析が遅れているため今後進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
顎骨浸潤をマウスの切歯抜歯窩で引き起こすのは、今回が初めての試みである。抜歯後、それが1日経過した場合であっても、抜歯窩を触ると出血があり、せっかく注入した癌細胞が流出してしまうという実験を困難にしている。それを改善するために、細片化したコラーゲンスポンジに癌細胞を浸し、それを抜歯窩に押し込み、最後に乾いたコラーゲンで閉鎖して癌細胞の流出を防止することを試みた。そのため、抜歯窩を用いた顎骨浸潤モデルを平成24年度中に構築することを目標としていたが、モデル作成に苦慮しているため実験の達成度がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現在解析中の抜歯窩マウス顎骨浸潤モデルの確立を目指す。μCTによる3次元的骨吸収の有無、血清中の骨吸収マーカーや腫瘍マーカーの濃度を測定し、顎骨浸潤の有無を評価する予定である。 モデルが確立した場合、TNF-αのインヒビターを用いて、顎骨浸潤が抑制できるかの本実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
確立したマウス顎骨浸潤モデルにて動物実験を行う。コントロール群で顎骨浸潤が起きていることを確認した後、抗TNF-αインヒビターを投与することで、顎骨浸潤を抑制できるかを検証する本実験を行う予定である。評価法は、μCTによる画像撮影、MMAレジン切片による骨形態計測(破骨細胞数/骨表面、腫瘍浸潤範囲など)、RT-PCRによる抜歯窩内部のmRNAレベルの測定(ALP,osteocalcin,RANKL,OPGなど)、多角的に検索する。
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