研究課題
口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤がどのようなリンパ節にどのように生じるのか、病理組織学的・形態学的な詳細検索を続けた。まず、74個の転移リンパ節をパソコンに取り込み、解析ソフトを用いた詳細解析を試み、被膜外浸潤陽性リンパ節・被膜外浸潤陰性リンパ節、両者の違いについて解析を行った。これをもとに、症例数を増やした後、被膜外浸潤陽性リンパ節のみに対象を絞り、転移リンパ節内の腫瘍占有面積に対する被膜外浸潤部の面積など様々な因子を抽出し、被膜外浸潤陽性リンパ節のタイプ分類を報告した。ここで、臨床的に有用性の高い(実用的な)分類を目指すべく、各症例の分類も模索、カプランマイヤー法を用いてリンパ節タイプと経過に関する生存解析を行い、学会報告した。一方、口腔癌原発巣における癌の性質のさらなる解明のため、脈管侵襲(リンパ管侵襲/静脈侵襲)と頸部リンパ節転移や不良な予後にも注目してきたが、様々な癌において、癌周囲のリンパ管密度と頸部リンパ節転移との関係を示す報告が多く見られたため、リンパ管密度を実際にカウントし、リンパ管侵襲および頸部リンパ節転移との関連性を学会報告した。また、リンパ管の同定に用いたモノクローナル抗体D2-40は、リンパ管内皮細胞特異的マーカーとして開発されたのだが、近年、癌細胞においても発現しており、発現と頸部リンパ節転移や不良な経過と関連性があることが報告されているため、実際に発現についても検索し、発現様式と癌の悪性度や頸部リンパ節転移との関連性を学会にて報告した。以上の内容を現在まとめている。また、口腔癌頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤と関連する遺伝子群を抽出する目的に予定していた実験は、手法そのものを見直し、遺伝子変異解析へ計画変更したが、現在、対象を選択し、計画を進めている。
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