研究課題
bFGFは骨形成促進作用のある成長因子です。しかし生物学的半減期が短く、また高用量では骨形成を抑制することも報告されています。bFGFに適した担体の条件として、徐放可能であり、また生理活性の維持が可能な材料だと考えられます。近年、徐放が可能で生物活性の維持が可能な担体としてゼラチンハイドロゲルが注目されています。下顎骨延長にbFGFとゼラチンハイドロゲルを用いた研究は従来認められませんでした。そこで今回私は、下顎骨延長の治療期間を短縮するため、成長因子としてbFGF、その担体としてゼラチンハイドロゲルを用いる事によるラット下顎骨延長での骨形成への影響を評価しました。合計28匹のラットを以下の5グループに分けました。bFGF単独、タイプ1コラーゲン単独、タイプ1コラーゲン+bFGF、ゼラチンハイドロゲル単独、ゼラチンハイドロゲル+bFGF。bFGFはヒトリコンビナントを用いました。bFGF:50μgをタイプ1コラーゲンとゼラチンハイドロゲルとにそれぞれ浸透させました。初期延長を1.5mmとして、延長器を装着し、延長部に各種材料を填入しました。5日間の待機期間を設け、1日に0.6mmの延長を6日間、計3.6mmの延長を行いました。骨を標識するため延長終了後10日目と16日目にカルセインを投与し、18日間の保定期間を設けました。結果、bFGF含有ゼラチンハイドロゲルを填入した群で延長部のX線不透過性の亢進を認めました。同群は、pQCTの解析から皮質骨領域面積が大きく、von kossa染色て染色された面積の有意な増加を認め、石灰化骨の量が多い事がわかりました。カルセイン蛍光標識の結果からも、より骨形成が亢進していたことが分かりました。これらのことから、下顎骨延長においてbFGF含有ゼラチンハイドロゲルの使用により治療期間を短縮できる可能性が示唆されました。
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Journal of oral and maxillofacial surgery
巻: 72 ページ: ー