研究課題
細胞間接着因子Claudinは、24種類のサブタイプからなるファミリーを形成し、正常細胞では細胞膜の極性を保ち、物質透過性を調節する作用を持つ。各種臓器のがん化においてClaudinのさまざまな発現変化が認められるが、口腔扁平上皮癌ではその関連性がよく分かっていない。そこで今回は、口腔扁平上皮癌においてがん化の様態をよく示すがん浸潤様式山本・小浜分類を用いて、Claudin機能発現がどのようにがん細胞浸潤に関わるかを調べ、そのメカニズムを解明することでがん浸潤・転移の抑制化を検討した。多くの文献からClaudin-7の口腔扁平上皮癌における発現に注目し、これまでのがん浸潤様式(山本・小浜分類:Y-K分類)に基づいた系統的研究の中でその由来が明確な口腔扁平上皮癌細胞株6種(3型からHSC-4, OSC-20,4C型からOSC-19, OTC-04, 4D型からHOC313, TSU)を実験に供し、Claudin-7発現を遺伝子レベルとタンパク質レベルで調べ、浸潤様式との関連を検討した。その結果、最も浸潤能が高い4D型由来細胞株では、他の浸潤様式3型、4C型に比較すると、Claudin-7発現が減弱していた。またin vivoでは、金沢大学附属病院歯科口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌患者より得られた病理組織切片67症例を対象として、Claudin-7を一次抗体とした免疫組織化学的染色法に取り組んだ。その染色結果では、浸潤様式が高くなるにつれてClaudin-7発現は減弱し、Claudin-7発現は浸潤・リンパ節転移に対して逆相関を認めた。これらのことより、口腔扁平上皮癌におけるClaudin-7の発現低下時は、浸潤能が高くリンパ節転移を来しやすく予後不良であることが考えられ、予後予測因子として利用できる可能性が示唆された。
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