研究課題
平成25年度はまず培養上清の作成を行った。当科にて保管している乳歯歯髄幹細胞を無血清培地にて培養し培養上清を作成した。続いて培養上清投与による影響を評価する予備実験として、扁平上皮癌細胞株に放射線照射を行い、がん細胞の放射線感受性を検討した。平成24年度はマウスを用いて放射線粘膜炎の作成を試みたが、照射範囲が狭い事や、照射後の栄養管理、照射後の粘膜炎の管理が困難であったことから、平成25年度は実験動物をラットに変更し研究を行った。ラット頭部に放射線を30Gy1回照射すると同時にラットの頸動脈から乳歯歯髄幹細胞培養上清1mlを投与し5週間目の治癒効果を病理組織学的に検討した。研究期間内にモデル動物の作成には至らなかったが、放射線粘膜炎を形成し評価可能であったラットについて検討した結果、培養上清投与に伴う組織学的に粘膜炎の治療効果に明らかな有効性は認められなかった。今後研究を推進していく上で、モデル動物の作成、放射線照射後の評価方法などについて検討を行う必要があると考える。続いて乳歯歯髄幹細胞培養上清投与に伴う炎症性サイトカインの動態をq-PCR、ELIZAを行い検討した。モデルとした動物は、放射線粘膜炎作成ラットでは評価困難であったため、当科にて現在検討中の肺炎誘発モデルを用いて検討した。その結果、乳歯歯髄幹細胞培養上清投与群において、コントロール群と比較し、炎症性サイトカインの低下を認め、抗炎症作用を有することが示唆された。今回の研究にて放射線粘膜炎に対する乳歯歯髄幹細胞培養上清投与による治癒効果に明らかな有効性は認められなかったが、他のモデル動物における培養上清の抗炎症効果が示されているため、放射線粘膜炎に対する何らかの粘膜炎の治療効果を有することが示唆された。
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 25 ページ: 276 281
10.1016/j.ajoms.2012.10.002