研究課題
ヒトiPS細胞株201B7を用いて検討した結果、①未分化iPS細胞からのEB形成、②培養皿上に接着させたEBからの細胞増殖、③単一細胞に解離させ残存EBを除去後の単層培養、④3次元培養による軟骨細胞分化誘導/単層培養による骨芽細胞分化誘導 の4段階から成る培養法を用いて分化誘導を行った。軟骨細胞分化誘導では、3次元培養開始後21日で細胞は明るい細胞質を有する大型で円形の軟骨細胞様の形態となり、細胞周囲はアルシアンブルー染色で濃染し、軟骨基質の産生が示された。II型コラーゲン、アグリカンの遺伝子発現も経時的に増加したが、X型コラーゲン遺伝子の発現は認めなかった。軟骨細胞への誘導成功率は約73%であった。ただし免疫組織化学的検討ではII型コラーゲンを検出できず、軟骨細胞としての成熟度は不十分である可能性がある。また、骨芽細胞分化誘導では、1~3週で経時的にアリザリンレッド陽性となる石灰化物沈着を認めた。I型コラーゲン、オステオカルシン等の遺伝子発現も経時的に増加した。他の複数のヒトiPS細胞株でも骨芽細胞、軟骨細胞分化が確認された。第③段階の細胞の表面マーカーを確認したところ間葉系幹細胞のマーカーが多数発現していたことから、この培養法でiPS細胞は間葉系前駆細胞を経て骨芽細胞・軟骨細胞へと分化しており、より生体に近似した分化系といえる。
3: やや遅れている
疾患特異的iPS細胞(線維性形成不全症)は、モザイク様の病態を呈しており、変異を含んだiPS細胞の確認に至っていない。したがって、正常iPS細胞を用いた効率的な骨芽細胞、軟骨細胞分化誘導の開発が先行している。
iPS細胞の効率的な骨・軟骨細胞分化誘導法の検討を行う。また、疾患特異的iPS細胞と正常iPS細胞の比較を行い、効果的な薬剤の検討を行っていく。
該当なし
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Stem Cells Dev.
巻: 22 ページ: 102-113
10.1089/scd.2012.0127