研究課題
本研究においては、癌細胞に対し局所的炭酸ガス投与を行い、細胞内ミトコンドリア量を増加させ、ミトコンドリアのアポトーシス経路を活性化させることにより、癌細胞のアポトーシスへの誘導を証明、解析することを目的とした。in vivoでの検討で、ヒト口腔扁平上皮癌由来細胞(HSC-3)を継代培養し、Nude Mouse背部に皮下移植した。CO2実験群とコントロール群に分け、開発したCO2吸収ゲルとCO2投与装置を用いて、週2回、投与時間20分で経皮的CO2投与を開始、移植28日後まで各回の腫瘍体積を評価した。実験終了後、腫瘍を採取した。採取した組織よりRNA、タンパク質抽出を行い、Real-tami PCR法、Western blot法を用いて、ミトコンドリア経路のアポトーシスの解析を行った。また、凍結組織切片を作製し、各組織学的解析を行った。コントロール群と比較し、炭酸ガス投与群において、腫瘍体積の増殖抑制効果が認められ、副作用として体重減少の有無を比較したが、両群において有意な差は認められなかった。また、炭酸ガス投与群において、ミトコンドリア経路のアポトーシス関連因子であCaspase-3,9、PARPの増加を確認した。アポトーシス発現に関連するミトコンドリア量の調節因子であるPGC-1α、TFAMの上昇を、また転移抑制因子であるMMP2,9やVEGFの減少を認めた。腋下リンパ節への転移の評価を行ったところ、コントロール群では55.6%、炭酸ガス投与群では12.5%の腋下リンパ節転移が確認され、転移抑制傾向が認められた。以上より、われわれの開発した局所的炭酸ガス投与法は、口腔扁平上皮癌細胞において、ミトコンドリア経路に関連したアポトーシスの発現による、腫瘍の増殖抑制および転移抑制効果を認めることが示された。
すべて 2014
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PLoS One.
巻: 9 ページ: e100530
10.1371/journal.pone.0100530.