研究概要 |
本研究課題の目的は、酸化ストレスに伴う神経変性および細胞死の新たな動物モデルと考えられるTransmembrane135 (Tmem135)変異マウスの中枢神経における表現型を明らかにし、本遺伝子変異マウスが中枢の酸化ストレスに伴う神経変性および細胞死の動物モデルとしての有用性を検討することである。平成25年度は、Tmem135遺伝子と高濃度酸素負荷による酸化ストレスとの関係を中枢神経のみに限らず、さまざまな臓器で分子生物学的に検討した。 ウイスコンシン州立大学マディソン校より譲り受けたTmem135変異マウスおよびその野生型マウスを75%の高濃度酸素下で2週間飼育し、大脳皮質、海馬、顎下腺、肺、肝臓、腎臓の各種臓器を採取した。さら通常飼育のTmem135変異マウスおよび野生型マウスからも大脳皮質、海馬、顎下腺、肺、肝臓、腎臓を採取し、4群のマウスの各臓器で、酸化関連物質のHeme oxygenase-1(HO-1), Superoxide dismutase1(SDS1), SDS2, iNOSおよび炎症関連物質のTNFα, IL-6の遺伝子発現量の違いをreal time PCR法にて、さらにHO-1のタンパク発現をウエスタンブロッティング法により比較検討を行った。その結果、75%酸素飼育下Tmem135変異マウスの腎臓において、HO-1遺伝子の発現が他の3群(75%酸素飼育野生型マウス、通常飼育Tmem135変異マウス、通常飼育野生型マウス)と比較し上昇していた。これによりTmem135変異マウスの腎臓は酸化ストレスが加わった際、酸化を受けやすい可能性を示唆された。本研究において、Tmem135遺伝子と中枢における酸化ストレスとの関連は明らかに出来なかったが、Tmem135遺伝子は酸化ストレス反応に関わる遺伝子である可能性が示唆された。
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