研究概要 |
両生類の卵母細胞抽出液はDNAメチル化とヒストン修飾異常を修復する能力を有していることが報告されており、両生類の卵母細胞抽出液にて処理された肺癌細胞株では、脱腫瘍化(リプログラミング)生じたことが報告されている。本研究は、口腔扁平上皮癌細胞株に対して、アフリカツメガエル卵母細胞および卵細胞抽出液を処理することによって、腫瘍細胞のリプログラミングが可能か否かに関して検討を行い、口腔扁平上皮癌細胞の癌化のメカニズムを解明するし、さらに特定遺伝子・分子を標的とした口腔癌の診断・治療法の確立を目的とした。 まず、アフリカツメガエルの卵母細胞および未授精卵からの抽出液をHutchisonらの方法に準じて抽出を行い、以下の実験に用いるよう準備した。次に、当研究室で樹立した口腔扁平上皮癌株KO,UE,KN(無血清培養下で培養した細胞株)における癌抑制遺伝子(プロモーターの高メチル化が報告されている。p15、p16、MGMT、DAP-K、RAR )の発現をRT-PCRを用いて検討を行い、これらの癌抑制遺伝子の著しい発現低下もしくは発現消失を認める細胞株を続く研究に用いる予定であったが、いずれの細胞株にも上記のがん抑制遺伝子の発現を認め、いずれの細胞も本研究への適応は困難であった。そこで、現在、他の細胞株の使用ならびに口腔癌に発現を認める、癌抑制遺伝子p16INK4A、E-cadherin、MLH1の発現を検討中である。
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