研究概要 |
両生類の卵母細胞抽出液はDNAメチル化とヒストン修飾異常を修復する能力を有していることが報告されており、両生類の卵母細胞抽出液にて処理された肺癌細胞株では、脱腫瘍化(リプログラミング)生じたことが報告されている。本研究は、口腔扁平上皮癌細胞株に対して、アフリカツメガエル卵母細胞および卵細胞抽出液を処理するで、、腫瘍細胞のリプログラミングが可能性の検討を行い、口腔扁平上皮癌細胞の癌化のメカニズムを解明、さらに特定遺伝子・分子を標的とした口腔癌の診断・治療法の確立を目的とした。まず、アフリカツメガエルの卵母細胞および未授精卵からの抽出液をHutchisonらの方法に準じて抽出を行った。次に、当研究室で樹立した口腔扁平上皮癌株NA、KN、ZA、KO、Ca9-22(無血清培養下で培養した細胞株)における癌抑制遺伝子(プロモーターの高メチル化が報告されている。E-cadherin、p16、MGMT、DAP-K、MLH1)の発現をRT-PCRを用いて検討を行った。その結果、すべての遺伝子の発現低下もしくは、発現消失を認める細胞株は認めなかったが、ZAにおいて、MGMT、DAP-K、MLH1においては、その発現が消失していたため今後の研究に使用することとした。lberioらの報告(Exp Cell Res,307,131-141,2005)に従い、細胞の透過性を高進させた口腔扁平上皮癌細胞株ZA(2×106個)に対し、先に用意した、アフリカツメガエル卵母細胞および未受精卵抽出液を細胞5,000個対して1μlの量で無血清培地中に添加し、21℃で無血清培養を行う。培養3時間、6時間、9時間後に抽出液未処理および抽出液処理癌細胞よりそれぞれRNAを抽出し、RT-PCRで上記の癌抑制遺伝子の発現上昇の有無の検討および、適切な培養時間の検討を行ったが、有意差は認めなかった。
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