研究概要 |
25年度に行った研究として、mGluR5 antagonist (MPEP, MTEP) がリンパ管新生におよぼす影響として、リンパ管内皮細胞 (LEC) を用いて、tube formation assay およびmigration assayを行った。結果、リンパ管新生能およびリンパ管内皮細胞の遊走はmGluR5 特異的阻害剤であるMPEPおよびMTEP 処理にて有意に抑制された。また、脈管新生因子の発現に対するmGluR5の影響を検討した結果、B88細胞においてSDF-1刺激による脈管生因子の発現上昇がmRNAと蛋白レベルで確認され、さらにリンパ管新生因子であるVEGFCの発現がmGluR5阻害剤により有意に抑制された。以上より,SDF-1/CXCR4システムを介した口腔癌のリンパ節転移には、mGluR5を介した癌細胞の遊走促進のみならず、VEGF-Cによるリンパ管新生が重要である可能性が示唆された。 次に、口腔扁平上皮癌患者48症例を用いて免疫組織学的に検索した。その結果、原発巣におけるmGluR5とCXCR4の発現比較をおこなったところ、癌患者の原発巣においてCXCR4陽性の患者はmGluR5の発現も陽性である患者が多く、両者に相関性を認めた。さらに、mGluR5 の発現と種々の臨床病理組織学的因子の関連について検討したところ、mGluR5の発現はリンパ節転移の有無および浸潤様式(Y-K分類)と有意に相関していた。
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