mGluR5阻害剤がSDF-1/CXCR4システム依存的な脈管新生因子に及ぼす影響を検討したところ、VEGF-CのタンパクおよびmRNA産生は有意に抑制された。また、リンパ管新生能はmGluR5阻害剤にて有意に抑制された。さらに、口腔癌患者を用いた免疫組織学的検索の結果、mGluR5とCXCR4の発現比較では、両者に相関性を認め、mGluR5 の発現はリンパ節転移の有無および浸潤様式と有意に相関していた。以上より、口腔癌の転移には、mGluR5を介した癌細胞の遊走促進とVEGF-Cによるリンパ管新生が重要であり、mGluR5が口腔癌に対する転移抑制療法の標的分子となりうる可能性が示唆された。
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