研究課題/領域番号 |
24792227
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
合田 啓之 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00464371)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / センチネルリンパ節生検 / OSNA 法 |
研究概要 |
臨床的にリンパ節転移を認めない早期口腔扁平上皮癌において、センチネルリンパ節生検は頸部リンパ節転移の有無および頸部郭清術の必要性を判断する上で有用な検査方法であると考えられる。しかし、その転移診断において従来の病理組織検査では、迅速性、またリンパ節の一部のみを検査対象とする点において診断精度に限界がある。近年、乳癌をはじめ胃癌・大腸癌などにおいてcytokeratin 19 (CK19) mRNA を検出対象とした One-Step Nucleic acid Amplification (OSNA) 法による分子遺伝学的検査が行われており、その有用性が報告されている。本研究において我々は、まず、口腔扁平上皮癌に対するセンチネルリンパ節生検における OSNA 法の有用性を検討した。結果、正診率 94.2% であり、その有用性がしめされた。しかしながら、口腔扁平上皮癌においては CK19 遺伝子の低発現や発現を認めない症例が認められた。診断精度向上のために、われわれは、続いて、マイクロアレイ解析を用いて新たな診断マーカー候補 (ANXA8L2, DSG3) を同定した。CK19、ANXA8L2、DSG3 のマルチマーカーを用いてリンパ節 330 個を用いた検討を行ったところ、CK19+ANXA8L2 にて感度 100% 特異度 97% の結果を得た。その後、ANXA8L2 の OSNA primer の作製を行い、術中迅速遺伝子診断を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、口腔扁平上皮癌に対する OSNA 法の有用性に関しては 312 個のリンパ節を対象に検討を行い、正診率 94.2% であり、その有用性を示すとともに論文にて報告を行った。続いて、偽陰性症例の検討を行い、CK19 遺伝子の発現低下または未発現の症例が認められることが原因として考えられたことより、新たなマーカー探索としてマイクロアレイ解析を行い、新たなマーカーとして ANXA8L2、DSG3 を同定した。RT-PCR 法によりその有用性を検討した結果、CK19 と ANXA8L2 の組み合わせにおいて正診率 98% となり、その有用性が示された。最後に術中迅速遺伝子診断が可能となるように ANXA8L2 の OSNA 法用の primer の作製を行い、十分に術中応用可能なレベルの primer 設計を行った。 以上のように、当初予定したスケジュールに従い、術中応用可能なツールの開発に成功したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、作製した primer よりも増幅効率、時間を短縮できる primer の開発を試みる。その上で、多施設共同研究を開始し、より多い検体を用いてその有用性の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
PCR 関連の消耗品、試薬および病理組織検査関連の消耗品、OSNA 関連の試薬、消耗品に引き続き使用する。
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