リンパ節転移マーカーとして以前より検討を行ってきたcytokeratin-19に加え、新たなマーカー遺伝子の同定を試みた。マイクロアレイを用いて、ヒト全遺伝子より、非担癌患者由来リンパ節1個と比較して、転移リンパ節7個全てに共通して3倍以上の発現亢進を認める遺伝子として36遺伝子を同定した。次に、新たに非担癌患者由来リンパ節9個、口腔扁平上皮癌転移リンパ節23個より抽出したtotal RNAを用いてリアルタイム定量化RT-PCR法による発現定量解析を行ったところ、ANXA8L2遺伝子において転移リンパ節 23個すべてが高発現を認めた。続いて、LAMP法による迅速遺伝子診断を実現するためにANXA8L2に対するLAMP primerを設計し、20分以内の遺伝子増幅を可能とした。またCK-19遺伝子を対象としたOSNA法の多施設共同研究を開始した (多施設共同による頭頸部癌頸部リンパ節転移診断におけるone step nucleic acid amplification 法応用の検討 愛大医病倫 0906009 号)。6施設計322個のリンパ節の結果は、感度75%特異度は96.8%、正診率は93.8%であった。偽陰性症例8症例に関しては、7症例にてCK-19の発現が原発組織にて認められなかった。また、CK19とANXA8L2遺伝子との併用においては感度100%であり、今後、十分に臨床応用可能な結果が得られた。
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